外伝6 ページ20
ジェベリアは珍しく本来の姿となり、カーペットの上に横たわっていた。尾を軽く振ったり、小さく唸ったりした。
彼女は基本的に自身の姿をあまり好んではいなかった。が、人間を模した美しい姿は長い期間そのままにしておくとかなり身体に負担があるのである。
ジョンは彼女の大きく柔らかな翼に身を預けて、もっちりとした尾を右手で撫で、左手で頭を撫でる。ジェベリアはもっと撫でろと言わんばかりに尾を擦り付け、くるくると可愛らしく喉を鳴らす。彼女はスキンシップが大好きだった。もっと言うならば、ジョンとのスキンシップが大好きだった。
「天使ちゃんは撫でられるのが好きなんだねぇ」
「別にそういうわけじゃないわよ?子供じゃあるまいし。でも、やめなくても良いわよ?」
「そうだねぇ」
もっちりもちもちの皮膚を餅のように伸ばしたり、つついたり。頭を撫で、翼に身を預ける。ジョンはかなり楽しんでいるようだった。
「もう少し乱暴にしても良いのに……」
「おや、天使ちゃんは
「持っていないわよ。ダーリンが手加減しすぎて楽しめてないんじゃないかって思っただけで」
「お気遣いありがとう。でも十分に楽しめているよ」
しかしその返答にジェベリアが物足りなさげにしているのを見て取ったのだろう。ジョンは先ほどよりやや力強く、彼女の首根っこを掴み、ぐにぐにと揉む。ジェベリアはごろごろと、猫のように上機嫌に鳴いて、もっともっとと催促する。今度は部位を変え、軽く引っ掻いたりしてみせた。
しばらくそうして戯れるうち、ジェベリアは体勢を変えた。よく懐いた犬のように腹を見せる。撫でてほしいのだろう。ジョンは内心(ぷにぷにしている……)と思ったが口には出さなかった。
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夜(プロフ) - 素晴らしいお話、ありがとうございます。楽しみに待っています (2021年7月22日 13時) (レス) id: 1f55a4bce5 (このIDを非表示/違反報告)
つーちゃん - ください (2021年7月4日 14時) (レス) id: 84f4461b32 (このIDを非表示/違反報告)
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