フォビアコンプレックス2 (ページ6)

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第五十四話　古泉沙莉ページ6

時間で言うと午後6時。この地底世界を明るく照らすパネルが赤くなり始める時間だ。呑気なカップルは"夕日…綺麗だね…""そうだね…でも、君の方が綺麗だよ…"を実行している頃だろう。
かくいう俺は、パソコンのディスプレイから送られてくるブルーライトを直に受け続けながら、キーボードをカチャカチャ鳴らし、毎秒毎秒送られてくるデータに目を通しながら仕事を片付けながら、最近知ってしまった案件をどうするか頭の中で整理していた。

…その、案件というのは、西区、南区、東区が戦争するとかいう関わりたくない事案だった。無論北区は参加しない。だからどこがどう同盟を結んでいるのかさえ分からない。東区を見にいった時についで感覚でミュータントも見にいったが、あの時は凶悪なのも少なかった東区のミュータントだが、最近掴む情報から考えると、凶悪なミュータントは圧倒的に増えているだろう。
ミュータントを北区に放されたりなんかしたら、北区はすぐ壊滅する。だって北区、対ミュータントそんなないし、コンピューターだけが取り柄の区だもん。

そして噂で聞いている東区に収容されているらしいとんでもなく凶悪なミュータント…。えーと、なんだっけ、地震起こせるとかなんとか聞いた気がする。だから永久に催眠ガスを投与して眠らせてるとか………まあこれに関しては本当に噂なので確信もクソも無いが。
しかしまあ北区も最近は物騒になって来てしまった。最近は客観的に見ると美少年や美少女を対象とした連続誘拐事件とかあるし、速く逮捕しなきゃいけないがコレが見つからないのなんの………

「そーいや、南区も戦争するって事はリィ来るのかね……」

結構前に東区を経由して南区に行ってしまった頼れる部下のリィ・アゲット・チスジスローラ。今は友人関係で俺がたまにリィの家に遊びに行ってる…が、こう、戦争となると友人であるリィが死んでほしくないのは当然だった。だから北区に来て欲しい。
そもそも、戦争案件を知ってから、空いてる住居などを避難して来た人の受け入れに使っているし、まあ、リィも匿えるには匿えるだろう。

そしてもしこの戦争に巻き込まれてしまった時用に、俺はその為の兵器を用意しなければいけない。
現に俺がパソコン全七台をカチャカチャしているのは、それに向けての防衛プログラムを作っているからだ。そろそろ手が痛いが、俺だって統治者だ、北区は守るさ。

「全く、俺が死ぬまではこういう事起きないで欲しかったんだけどなぁ…！！」