フォビアコンプレックス2 (ページ32)

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第七十九話　レヴィアタンページ32

そういえば。

　はっとして思い出す。怪我はとっくに再生しているから、どこも痛くない。このすさまじい不死性も、ゼロ生物の特権っていうやつさ。まあそれはともかく。ワタシは頭を毟る。

　西区に潜入させるためにジョバンナを南区に捨ててきたけど、連絡がないなぁ。

　捨ててきたのがスラムだったからだろうか。でも、あそこが一番西区に潜入しやすかったんだよなぁ。

　確かに彼女に期待するべきではないのかもしれないけど、それでも、アルラウネ種の始祖個体から直接株分けをされた殻だよ？まさか、ごろつきに負けるわけないよね？

　両足を切断したのがまずかったかな。分からないなぁ、加減って。殻だったわけだし、再生できると思ったんだけど。

　エキドナ種とアントリオン種のハーフを回収してくるという簡単なお使いのはずなんだけど。何かトラブルにでも巻き込まれたのだろうか。それにしたって遅い。

「良いのかい、あの子ひどい目に合ってるよ」

　[データ削除済]がワタシに話しかけてきた。答えない。どうせ無駄な話だ。それよりも、他にやるべき事をやろう。えっと、軍部サービスのやつらにデータを渡して、ミュータント達の研究もして、それから……。ああ、やるべき事が多すぎるよ！

　ワタシは大袈裟なくらいに大きな溜息をついて、冷たい床に寝転ぶ。ワタシの脳味噌の許容量はそこまで高くないんだから、ゆっくり考えないとオーバーヒートしちゃうよ。

　まず、データの整理から始めよう。次にミュータントの世話、成分の研究、それと運動もしなきゃ。

　脱走している[データ削除済]の事が気になるけど、もう良いや。もうワタシ一人が足掻いても、どうにもならない。あれを止めるなんてできないしね。

　さて、ゆっくりしながらジョバンナの報告でも待つか。