フォビアコンプレックス (ページ5)

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第四話　戦場誠ページ5

大量の歴史本が転がったリビング。
汚いものは嫌いだからとゴミはすぐ片付けるくせに、ガタガタと音を出す机に山のように本が重なっていた。

眠気で少しよろければ肘が当たって本が崩れる。舞い散る埃とともになる「がさがさバサバサ」という音は、最悪の眠気覚ましだった。

…

パジャマから私服へ着替え、時刻を見てみれば朝の六時
うむ、今日はかなり早い方だな。やはり昨日早く寝ようと深夜三時に寝たのが良かったんだろうな。

ミルクココアを飲みながらそんな事を考えていた。

からから…カーテンを開ければいつものただの青いホログラムが見える。まるであのクソ眩しい太陽を映やす青とは似つかない青色の。
きっと今の地上は毒に侵されて真っ黒な雲が太陽を覆い隠しているのだろう。

「あぁ…俺は青空より灰色の雲が見たいんだがなぁ、重く苦しいあの雲が…」

おっと、口出てしまったな…まぁわざとだが。
俺にとっては全てが好機だ。ここで今死んでも良いしな。

俺の目的は地上に出る事でもフォビアを殺す事でも何でもない、ただ一つ、世界を混乱させること。
俺の手のひらの上で転がり回して、その後にギロチンでもなんでも殺してもらおうじゃあないか。

「ああ、良いなぁ……ふふ…ひひ」

ああ…！笑いが抑えきれない、全ての悪夢の始まりが悪人を嫌う街にいるなんて
ここに居るのに気付かないなんて
ただの一般人として暮らしているなんて！

……ふぅ、

ああ…それにしてもホログラムを見ながら笑っているなんて、今の俺は中々に不審者だな。
足が疲れたとソファに飛びこめば、ソファはギシっと音を出した。

「……そろそろ仕事に戻らなくては…」