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第三十話 麦瀬瞳 ページ31

空は黒で覆われ、苦く汚れた空気が漂う地上。
そこに今俺は立っている。


 毒で支配された地上に立っている。地下に逃げた人間達には有り得ない話だろうが、まぁ……人間ではないし、死なないし。だから別に変な事では無いのである。

空はもう青をずっと映していない。千年前、幼馴染と一緒に見た風景もここには無い。
あの美しい緑も、建物の灰色も、太陽の金も、血溜まりの赤も、もうここには無い。


無くなった風景は思い出せるのに、居なくなった幼馴染は思い出せない。

彼に会いたい。会いたい。会いたい。会いたい。あぁ


「……ッ…ぁくっそが」


 目が熱くなって、血が上る様な感覚。染まっていく様な
もう復讐する人も物も無くなったのに、復讐の為の力は残り続けている。

「地下に、あいつは……幼馴染はいるのか、いや流石に生きてない…だろ、きっと」


千年前よりも随分小さくなった手を握りしめた。

地下…地下、か


「ふ…久しぶりに、毒に汚染された肉じゃなくて美味しく熟成された人間が食べたいなぁ」


あぁそうだ。拝んでやろうじゃないか、
べったりとした緑を、音を鳴らして動く機会の灰色を、金とは表せぬただの黄色の光を、地の中へ降りても変わらぬ赤を、

……風景さえも忘れる様な、あいつとの思い出を


「なら、地下に入れる様な穴を探さないと……ふふふ…ひひ」


あぁそういえば、幼馴染もこんな風に笑っていた気がする

第三十一話 月ヶ丘翠→←第二十九話 ノスフェルトゥ



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ミクミキ(プロフ) - 終わりました! (2019年11月13日 20時) (レス) id: eada72cfbe (このIDを非表示/違反報告)
ミクミキ(プロフ) - 更新します! (2019年11月13日 19時) (レス) id: eada72cfbe (このIDを非表示/違反報告)
ミクミキ(プロフ) - 終わりました! (2019年11月12日 21時) (レス) id: eada72cfbe (このIDを非表示/違反報告)
ミクミキ(プロフ) - 更新します! (2019年11月12日 20時) (レス) id: eada72cfbe (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - 更新しましたー (2019年11月9日 22時) (レス) id: ed034718e4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミクミキ x他4人 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2019年10月14日 19時

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