フォビアコンプレックス (ページ24)

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第二十三話　ドロシアページ24

……。

　ここは、どこ？

　目を覚ますと、まったく知らない場所。天井がある、という事は室内なのだろうけど……服も着換えさせられているし、誰かが私を見つけて、ここまで運んだのだろうか？

　ここが西区でない事を祈りながら、ベッドから起き上がる。

　ここは個室のようだ。窓からは高層ビルが建ち並んでいるのが見える。どうやら、西区ではないようだ。西区にこんな高層ビルはない。南区か、北区のどちらかだ。目的通り南区であればいいのだけど。

　そう祈りながら、個室の扉を開けた。

「目覚めました？」

「うわっ？！」

　ちょうど入ってこようとした人にぶつかりそうになり、慌てて離れる。そんな私の様子を見て、その人は一瞬だけ目を見開いて、そして苦笑した。

　その人……ううん、その子は小さな女の子だった。黒い髪を三つ編みおさげにし、くりくりとした特徴的な薔薇色の瞳を持っている。

「ねえあなた、お姉様よね？」

　お姉様。

　その単語に、ついぴくりと震える。それを見て、女の子はまた笑った。

「お姉様、初めまして。私はローズ牧場で生産された愛玩用家畜人のセリニよ。この時間帯には本当は北区にいるはずなんだけど、今日は秘密結社の集まりがあったからここにいるの」

　……秘密結社？

　噂に聞いた事ならある。何でも、今の女王のやり方に反対する人間達の集まりなんだとか。けど、それが本当にあるなんて、思ってもなかったの。

「……お姉様、お姉様も自己紹介してよ。瀟洒じゃないわ」

　そんなセリニの言葉に、どうにかはっとして。いけないわ、私らしくもない。それに、小さな女の子に指摘されたのだって、恥ずかしいわ。

「私はドロシアよ。ドロシア・マイヤー。ねえ、えっと……」

　私には多くの質問があった。秘密結社って何？集まりって何？あなたは秘密結社に所属しているの？けど、それらは言葉になりきれず、頭の中をぐるぐると廻るだけ。

　そんな様子を見て、セリニはまた笑ってた。