フォビアコンプレックス (ページ23)

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第二十二話　ブラウページ23

僕はついこの前、弟と一緒にフォボス症候群を発病した。普通なら、僕らはもう人間ではなくなっているはずなのに、僕と弟のフラムはそうはならなかった。
お母さんがフォボス症候群を治療する力を得て、僕らを治してくれた。
そしてお母さんは、製薬会社の人たちにどこかへ連れていかれてしまった。

「……むにゃ」

そんな非常事態だというのに、僕は昏々と寝てしまっていたみたい。僕の体の形にへこんだふかふかの布団は、僕のベッドとは色が違っていて、ともかくここが自宅以外のどこかだということははっきりした。

「……ここ、どこ？お母さんは？お父さんとフラムは！？」

「兄さん、おはよー」

「フラム！」

すぐ隣から聞こえたフラムの声に少し安心しながら声のするほうを向いた。

「兄さん、なんだか大変なことになってるみたいだネェ」

「えっ？」

フラムは金髪の中にひと房だけある紫の髪を揺らして前を向いた。

「もうお一方もお目覚めになられた」

「救いの聖女ミアの子がこれで揃いましたね」

「聖女の子のお目覚めだ」

「これで我らも再び星を見られる」

僕らの眠っていたベッド、というよりカプセルの周囲には数えきれないほどの人だかりができている。一体彼らは何者なんだ？

「……あの、少し聞きたいんですが」

僕が聞くと、集団のリーダーらしい人がやたらと仰々しくやってきた。

「いかがなさいましたか、我らが救世主よ」

「そういう言い方やめてヨ。ここにいるのは救世主じゃなくてボクの兄さんのブラウだヨ」

「うん、そしてこっちは僕の弟のフラム……それより、あなたはなぜ僕らをそう呼んでるんですか？それ以前に、ここってどこなんです？」

一つ二つ質問を投げかけてみると、幾人もの人が返事をくれた。

「浄化の力を持つミアの子である、あなた様こそが穢れた地上を浄化できる救世主なのです」

「あなた方だけが恐怖の女王の支配を破れるのです」

「どうか我々をお救いください」

僕とフラムはそろって首を傾げた。

「つまりは」

「何をしろっテ？」

「人類は悪しき女王により地下に閉じ込められている。女王を倒すのに、君たちの力が必要なのだ。協力して、くれるかね？」

僕らは再び首を傾げた。

「それなんて」
「なろう系？」