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第六話 シエラ ページ7

「………ふむ。なるほどな」


目の前に立つ、上級幹部のミドリ・ツキガオカに渡された手紙を読み終えて、俺は良くも悪くもため息をついていた。

俺に宛てられて書かれたそれは、あったことも無い感染者からのものであった。
名前の所には「マコト・イクサビ」とあり、内容としては「ドロモスワークスカンパニーに協力したい」といったもの。



「…………よし、受けるか」

「っ、随分あっさりと決めるんですね」

「そうだな。……もしかしたら、既に」


第1に。
我がドロモスワークスカンパニーが、健全な製薬会社だと思っているなら。こんな風に手紙を出し、おまけに「協力したい」なんて書かずに、普通に就職試験を受けて入社しようと思うだろう。

それに、見知らぬ者からの手紙…それも本社宛でなく上級幹部の家、しかも窓に挟まっていたとなると…かなりの情報が漏洩している可能性もある。

だったら、下手にバラされる前に手駒にして口封じした方が得策だろうな。


「…一応聞いておくが、ミドリはこの『マコト・イクサビ』という人物の事を知っているか?」

「知らん知らん!!知ってたらとっくに言ってます!!」


あぁ、俺の朝の優雅なティーブレイクの時間を返してくれ…何故こんな早朝から会社の命運が決まるような決断で悩まなければいけないのだ………





「あぁそうだ総帥、一緒にこんなものも届いたんです」

「……なんだ?見せろ」

「これなんですけど………」


目の前に差し出された箱の中身を見て、俺は全てのことがどうでも良くなった感覚がした。


「……こっ、これは……!!!!!」

「なんや!?なんか知っとるん!?」


「人気洋菓子店『polvere di stelle』の1日30個限定のカスタードアップルパイではないか………!!!!!」


「………………え?」

「よしミドリ、食べるぞ!!!皿とフォークを用意しろ!!!」

「…………え、え?ちょ、落ち着け?」

「アップルパイにはやはりキームンだな!!」

「ちょ、マコト・イクサビはどうするん?」

「………え、何を言ってるんだ?




全力で歓迎するに決まっているだろう!!!!!」





非常に自分勝手で、どうでもいいような事。

それで1つの会社を振り回してしまう暴君。

沢山の命を抱え、時に残酷に時に無情に行動する我らが総帥。


そんな彼がアップルパイを手に取り、会社の命運がかかっている判断をアップルパイひとつで決めてしまった。



ミドリ・ツキガオカは、目の前の幼き暴君を見てため息をついた。

第七話 マコト→←第五話 ミドリ



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りおーね(プロフ) - 修正終わりました〜 (2019年3月28日 12時) (レス) id: c9f96cbb66 (このIDを非表示/違反報告)
りおーね(プロフ) - 少し修正します (2019年3月28日 12時) (レス) id: c9f96cbb66 (このIDを非表示/違反報告)
薙(nagi) - 祝!続編!!頑張りましょう (2019年3月27日 22時) (レス) id: 43e3ad1e0e (このIDを非表示/違反報告)
零霧―ゼロキリ―(プロフ) - 長めじゃなかったですね、更新終わりました!あと、続編を作る必要があるみたいなんですが…どうすればいいですかね? (2019年3月27日 21時) (レス) id: 64e187c771 (このIDを非表示/違反報告)
雷夜@馬鹿な小説家(プロフ) - 修正完了しました! (2019年3月27日 20時) (レス) id: 4f6eef4efb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミクミキ x他9人 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2019年3月21日 17時

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