フォボス症候群

第四十話　スザンナ ページ42

ふぅ、疲れた。

　オフィスに戻ってから、そう溜息を吐く。足元のフェシリアを蹴りつけながら、煙草を吸う。

　今までに恋人を作る時は、あんなに緊張しなかったのだけど。あの男は、本当に危険だわ。本当に取り込めたのかさえ、疑わしくなる。

　まあ、多少の利害関係を築けただけ、良い事にしましょう。敵対してしまわなかっただけましだわ。そう自らを慰めて、煙を吐く。

　頭が痛いわ。肩の疲れもとれないし。心労がたまっているのかも。こんな時には、もっとフェシリアをいじめたいわ。けれど、気力もあまりないし。仕方ないから、フェシリアに馬乗りになって、書類仕事を終わらせる事にした。

　初めは、上層部に罪を着せて追放するつもりだった。でも、それじゃあ無理だったの。だってあいつら、お金にものをいわせて握り潰しているんだもの。

　どう足掻いても揉み消される。だから、直接殺した方が早いわ。

「おねえ、ちゃん……」

　うるさいわね。今、考え事してるのよ。黙れ。強く踏みつける。勢い余って、目玉をいくつか踏み潰してしまった。

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