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中「さすが頭の切れる二人だ。そんな二人にこれを差し上げよう。」
そう言うと、中島は二輪の薔薇を二人に渡した。
三「ありがとうございます。」
檜「で、今回はどういったご用件でこちらに？」
中島は探偵団の担当教師に選ばれたが、彼も高等部で授業・クラスを受け持つ一般の教員でもある。
忙しい彼がわざわざここに来たからには、何か理由があるのだろう。
中「そう。今日は君たちに依頼が届いているんだ。」
そう言って、中島は胸元の内ポケットから何やらDVDを出した。
探偵団は一瞬息を飲んだが、急いでロングテーブルの上を片付け、各自席に着いた。
モニターに移された人物は、顔出しをしないことで有名な蒼龍学園理事長の声をしていた。
「御機嫌よう、探偵団諸君。」
その声に合わせて立ち上がりお辞儀をする6人の姿に、後ろから見つめていた中島は改めて感心した。
「今回君たちにとある依頼が届いている。」
「だがしかし、今回の依頼には繊細に取り掛かって欲しい。」
この一言で、空気が緊張感を持ったことが、誰にでも手に取るようにわかった。
「繊細に、」と言われたら、依頼主が相当な権力者か、凶悪犯罪か、のどちらかに絞られる。
結果は後者、凶悪犯罪だった。
「今回捜査を引き受けた依頼は、連続殺人事件だ。」
また全員が息を飲む。
「一番最初に発見されたのは、15階建てマンションのゴミステーションに置かれた男性の遺体。」
「腹部を数回刺された跡があるが、犯人と揉み合いをした形跡や、もがいた形跡もないため、警察は単なる通り魔だと片付けようとしている。」
「その後も、近くの公園のゴミ箱やゴミステーションに、似たような刺され方をした遺体が複数見つかった。」
スクリーンには次々と死体の写真が流れる。
平塚は目を瞑り、深田は大きく息を吸い、内村も一瞬頭を振る。
対して、青木・檜山・三月はビクともしない。
「事件には必ず裏がある。今回の依頼も、依頼主の意向に沿って丁寧に捜査してくれ。」
「諸君らの健闘を祈っている。」
シャットダウンの音を立てて理事長が画面から消える。
真っ黒になった画面にはまだ目を瞑ったままの平塚が映る。
それを見て、すぐ後ろに座っていた内村が「大丈夫？」と声をかける。
平塚はシャツを握りしめ、力なく頷くだけだった。
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作者名：青 | 作成日時：2020年3月31日 18時
