100話 ページ4
.
五十嵐「一旦腹部大動脈まで戻して上へ進み、上腸間膜動脈にカテーテルを入れます。そこで造影剤を吹いて小腸の出血箇所を特定しましょう。」
五十嵐の的確な指示が飛び、甘春は落ち着いた手技でカテーテルを進めていく。
甘春「はい...!」
A「上腸間膜動脈の入口、3Dで作って下さい!」
威能「もう出来てます。」
軒下「この入口なら今使ってるカテのままいけそうですね。」
A「...!」
Aは若干の驚きを覚えつつ表情を綻ばせる。
甘春「上腸間膜動脈まで入りました!撮影お願いします。」
五十嵐「はい。...セット出来ました!」
ピッという音が鳴り、撮影終了を告げられる。
甘春「...お願い.....あって...!」
甘春の呟きが終わると同時に画面へ画像が映し出される。
A「...!...ありましたね...出血点...!!」
甘春「はい!止血しましょう!!」
A「...そのまま真っ直ぐです。そこの分岐を右に進んで下さい。」
五十嵐「ルート転換先に出血点があるように見えます。そのまま、ゆっくり進めて下さい。」
甘春はAと五十嵐の言葉通りゆっくりと正確にカテーテルを操作していく。
小野寺「...よし、この分岐を超えたらカテーテルが出血点に届く...!」
甘春「撮影します。」
再び撮影音が鳴り、画像がモニターへ表示される。
A「...!...これは...」
「小腸動静脈奇形ね。」
ふと、後ろからあのどこか安心出来る声が聞こえ、Aは振り返った。
A「院長...!」
大森は僅かにAへ微笑んだ後続ける。
大森「...先天的な血管の形成異常で出生前から存在して、身体の成長に比例して増大する。それがこのタイミングで小腸から出血を起こしていたみたいね。」
甘春「...コイル塞栓で出血を止めます。1.5mm3cmのコイル。」
A「はい。」
甘春へとコイルを手渡し、モニターを見つめる。
...完璧だ。
Aは出血が収まった小腸動静脈を見て小さく息を吐いた。
小野寺「止まった...」
A「篠原さんバイタルも安定してきました。」
小野寺「...やった...甘春先生、とても初めてとは思えなかったぞ...!それに安藤先生も...!」
A、甘春「ありがとうございます...!」
Aはふっと頬を緩め、無意識的に五十嵐へと視線を向けた。
それは、彼もまた同じように。
.
922人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
奏奏奏(プロフ) - きぇぇぇぇ!!さん» ありがとうございます!これからも頑張っていきます! (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
奏奏奏(プロフ) - レナさん» ありがとうございます!励みになります´`* (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
きぇぇぇぇ!! - ラジエーションハウスは大好きな作品(?)なので頑張ってください!(?) (2019年7月30日 17時) (レス) id: 5d428d39a9 (このIDを非表示/違反報告)
レナ - 待ってました。これからも頑張ってください。 (2019年7月16日 22時) (レス) id: 869c734d75 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:奏奏奏 | 作成日時:2019年7月16日 19時