98話 ページ2
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A「楽にして下さい。」
Aは患者へ声をかけながら甘春へと視線を向ける。
甘春「腫瘍まで到達しました。後はこの箇所でコイルを詰めれば...コイル、は...」
A「...!」
彼女の様子を見て若干不安がよぎるAだったが、悠木の言葉によってそれはすぐに跡形もなく消えて行った。
悠木「2mm4cmでどうでしょう?」
マイク越しにそう伝えられ、甘春は小さく息を吐いた後「それにしましょう」と応えた。
...確かに...この状況ならこのサイズがベストだ。
Aは悠木の的確なアドバイスに微笑みつつ、甘春へコイルを手渡す。
手早くコイルを患部へ詰めていく彼女を横目に、Aはモニターを見つめる。
そしてピッという機械音が鳴り響き、コイルが切断されたことを告げられた。
甘春「...切断しました。」
A「ではまた撮影しますね。息を吸って.....吐いて、止めてください。」
そのタイミングでシャッターが切られ、モニターに新たな写真が映し出される。
A「...楽にして下さい。」
甘春「...よし.....止血出来た...」
甘春が安堵の表情を浮かべた刹那、頻脈を告げるコールが皆の耳を劈いた。
A「...!...頻脈...!?...それに血圧も下がってます!」
甘春「...え...?」
目を見開き、モニターに視線を向ける甘春。
しかしそこには既に止血が完了した患部しか映っていなかった。
たまき「まずいわね...脈が速すぎる。」
小野寺「止血出来てないんじゃないか?」
甘春「...コイル塞栓は上手くいったハズなのに...」
広瀬「何が起きたんですか!?」
軒下「...ちょ...鏑木先生に連絡してきます!」
A「.....」
Aはモニターを睨んだままかつての経験で当てはまる症例と照合していく。
止血は完了済...けれど頻脈ならまだ何かあるハズ.....
A「...どこだ...?」
コール音がAの思考を急かすように嘲笑っている。
軒下「鏑木先生へ連絡しましたが...20分後に到着予定みたいです...」
小野寺「20分て...」
すると「血圧100切りました!」という看護師の声が聞こえた。
もう時間的猶予はないだろう。
...この
甘春「...!...安藤先生、輸液スピード上げてください!」
..."大腸ガン"...?
ふと、Aは気が付く。
脳内へ流れ込んできたのは、あの医療小説のワンフレーズだった。
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奏奏奏(プロフ) - きぇぇぇぇ!!さん» ありがとうございます!これからも頑張っていきます! (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
奏奏奏(プロフ) - レナさん» ありがとうございます!励みになります´`* (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
きぇぇぇぇ!! - ラジエーションハウスは大好きな作品(?)なので頑張ってください!(?) (2019年7月30日 17時) (レス) id: 5d428d39a9 (このIDを非表示/違反報告)
レナ - 待ってました。これからも頑張ってください。 (2019年7月16日 22時) (レス) id: 869c734d75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奏奏奏 | 作成日時:2019年7月16日 19時