94話 ページ46
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翌日、通常勤務時間を終えた僕は当直だったためIVRについての医学書を広げていた。
すると帰り支度を既に済ませた軒下さんが、鏑木先生からもらった医療小説を片手にわざとらしく口を開く。
その様子をロッカールームから戻って来た他の皆さんは軒下さんを鬱陶しそうに見つめ、溜息をついていた。
軒下｢"多くの人々は金閣寺の壮麗さに目を奪われ、その参道の脇にある陸舟の松の存在に気付かない"
でもその松自体、京都三大松の1つと言われ樹齢600年の素晴らしい松なんだよなァ〜！！それがこの作中では、｣
そこまで言うと、誰も聞いていないことに気がついたのか｢...って聞けよオイ！｣と叫んでいた。
広瀬｢何してるんですか？｣
そんな軒下さんに構わず広瀬さんは僕のデスクを覗き込んで尋ねてくる。
五十嵐｢勉強してます。...IVRの。｣
悠木｢...どういうつもりですか。｣
たまき｢どーせ技師は治療出来ない。｣
威能｢勉強するだけ時間の無駄ですよ。｣
僕は彼らの言葉に医学書を読み進めながら応える。
五十嵐｢確かに治療は出来ません。それどころか治療中に何か起きたとしても、技師の僕にはその責任を取る事すら出来ません。
医者は全ての責任を背負い医療行為を行っています。...それに...｣
ページをめくる手に力が入るが、構わずに続ける。
五十嵐｢...きっと、誰にも見せられない不安やプレッシャーがあると思うんです。｣
僕は少しだけ顔を上げ、口を結んだ後、呟く。
五十嵐｢僕に出来ることはそうした不安を少しでも取り除いてあげることだと思うので...！｣
すると若干微笑んだのだろうか、技師長はフッと言ってから扉の方へ歩き始める。
小野寺｢そうか、お疲れ。｣
五十嵐｢お疲れ様でした。｣
僕は他の技師の皆さんにもそう伝えると、再び医学書の世界へ潜って行った。
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あれから数分、脳内でイメージングを行っていると扉の開く音が聞こえ、そちらへ視線を向ける。
五十嵐｢...！｣
そこにいたのは技師の皆さんだった。
広瀬｢...少しだけ残ります。｣
たまき｢はぁ〜...新人に残るって言われて私達残らないわけにいかないでしょ。｣
軒下｢あぁまたマッチングアプリする時間が減る...｣
威能｢とか言いながら結局戻って来てますね。｣
悠木｢...IVRの知識だけは負けたくないんで。｣
小野寺｢...つーことだわ。おい、やるぞ。｣
五十嵐｢...はい！｣
僕は小さく微笑み、頷いた。
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奏奏奏(プロフ) - リディア94さん» ありがとうございます…！大変遅れまして申し訳ありません！続編を作成致しました！ (2019年7月16日 22時) (
レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
リディア94(プロフ) - すごくいいところで話が終わってる…ものすっごく素敵で面白い話なので、続き早くみたいです！！！更新待ってます！ (2019年7月16日 15時) (レス) id: 4cfe601cb3 (このIDを非表示/違反報告)
奏奏奏(プロフ) - あいちゃむさん» ありがとうございます！毎日少しずつではありますが頑張っていきたいと思います´`* (2019年6月29日 12時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
あいちゃむ(プロフ) - 毎回、更新楽しみにしてます！継続は大変だと思いますが、無理をなさらず可能な範囲で。。 (2019年6月29日 1時) (レス) id: a51c69fc03 (このIDを非表示/違反報告)
奏奏奏(プロフ) - 茉莉花さん» コメントありがとうございます！とても励みになります…*_ _) (2019年6月13日 22時) (レス) id: 3daaf042e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奏奏奏 | 作成日時：2019年6月13日 20時
