壊れても (ページ5)

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運「警察と救急車呼ぶわ！」

藤原「…じゃ、俺親に電話します、、」

prrrrr…

母『はいもしもし？』

藤原「もしもしおかん？ちょ、俺、事故った。」

母『はぁ？大丈夫なん！？怪我は！？警察呼んだ？』

藤原「そんな大丈夫やから。車と引っかかって転んだだけ。警察は運転手さんが呼んでくれとる。」

ほんまに大丈夫なんか、と心配し続ける母親に多少状況説明をして電話を切る。

運「警察は10分ぐらいで来てくれはるらしい。」

藤原「そっすか、ありがとうございます。俺の親も来るらしいっす。」

気まずい沈黙が続く。

ごめんな、と時々謝られるが、俺が歩道から出たばっかりだったら運転手さんはそんなに悪くない。

藤原「いや、俺も歩道から飛び出したかもしれへんので。。」

アメリカでは裁判で不利になってはいけない、と謝らないのが主流らしい。

でも俺は生粋の日本人だ。

よく覚えていない、そんなことが少し怖くて、正直に謝ってしまう。

その隙を見逃されなかった。

運「俺の車ドライブレコーダーついてんねん。見ればすぐに分かる。

なぁ、君高校生やろ？俺の車も大分傷ついとるし、、

…穏便に、ってのも考えといてや。」

この人Domだ、とすぐに分かった。

少し人をからかうような目からは緩くGlareが発されていて、頭がぼーっとする。

気をつけなさい、と俺がSubだと分かってからあれほど言われていたのに、

目を見てしまって、Commandも言われていないのに口が勝手に動いてしまう。

藤原「はい、、。」

俺の返事を聞いて、すっ、と威圧感が消える。

あれ？と今の出来事について深く考える前に警察の人が到着した。

何度も何度も自分の名前と高校名、電話番号、住所……と個人情報を聞かれ続ける。

救急車が来て、一応頭を打っているから、とストレッチャーに乗せられる。

そこでもまた個人情報の質問攻めだった。

今考えれば頭の怪我を心配しての意識の確認の面もあったのだろう。

既往症、普段の健康状態、薬剤のアレルギー、などよくわからないところまで聞かれ困ってしまう。

ずっと健康です、と半笑いでのざっくりとした俺の返事に救急隊員さんは笑わなかった。

腕になんか巻かれるわ、体温は測られるわ、ライトは当てられるわで少し困惑する。

隊員が色々な病院に連絡して受け入れお願いします、と言っているのをぼけっと聞いていた。