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藤原side
藤原「えーっと、俺が歩道から車道に出て、端っこ走ってて、車に抜かされる時に自転車のどっかが引っかかって、俺がこけたって感じっす。」
ふむふむとメモを取る警官に3度目の話をする。
遠くから救急車のサイレンも聞こえてきた。
大事になっちゃったなぁ、と内心ため息をつく。
事故った。人生で初めて。
高校からの帰りに俺の自転車と、車の軽い接触事故。
ほとんど行っていない部活に珍しく顔を出したから、
もう辺りは暗くなっていた。
ああ警察に話したものの、正直言えばよく覚えていない。
少し車通りが多く、狭い道だから歩道を走ろうと思った。
でも歩道には向かいから逆走の自転車が来ていて、
俺は車道に出た。
ここまでははっきりと覚えているのだが。
多分車に俺の自転車だか、リュックだか、
どこかが引っかかってこけたのだと思う。
はっ、と気づいたらアスファルトの地面に倒れていて、
後続の車のヘッドライトに照らされていた。
コンビニ寄って帰ろ、などと呑気に考えていた10分前の自分の頭をはたきたい。
車の運転手さんはいい人でハザードを焚き、
少し前に車を停めてこちらに出てきてくれた。
運「大丈夫か？ごめんなぁ。どっか打った？」
藤原「あぁ、多分大丈夫っす。」
咄嗟に返す。
今考えればアスファルトの上で転んで大丈夫な訳がないが、
その時はイケると思った。
やっぱどっかに連絡しなきゃなんかなぁ、と困惑気味の運転手さんに、
お節介そうな自転車のおばさんが話しかける。
「警察呼ばへんと轢き逃げになりますよ！はよ！」
なんだよ、と少し苛つく。そもそもお前が逆走しなければいいんだろ。
運「こちらで出来ますんで。」
同じ気持ちだったのか運転手さんは思ったよりも冷たい調子で断った。
運「とりあえず、ここじゃ危ないな。ちょっと先の道入ろか。」
藤原「そっすね。。」
少し時間が経ったからなのか、俺の右腕と右の額はジンジンと痛みだしていた。
自転車を押して、車通りの少ない道へと入る。
運「やっぱ、警察呼ばへんとまずいから今呼ぶな？どっか怪我したとこある？」
藤原「あぁ、、腕とかっすかね。。」
俺にも心理がよく分からないのだが、
俺はまだ日常に戻りたがっていて、
頭を打ったなんて言ったらやばいかもしれん、とすぐバレる嘘を付く。
案の定スマホのライトで身体を照らされ、
血出てるで！頭打っとるやん、と言われる。
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作者名：哀川樹 | 作成日時：2022年9月30日 22時
