壊れても (ページ21)

今日:33 hit、昨日:12 hit、合計:67,165 hit

18 ページ21

西畑「プロデューサーさんに会うたん？」

藤原「自販機で飲み物買おう思ったら、居って。

そんでCommandでこの部屋連れて来られて、、、俺に乗り換えろ、って言われた。

……断ったら蹴っ飛ばされて、、そのまま。」

Commandを使ったPlayをきちんと終わらせないとSubは不安定になる、

ということは俺の知識の中にはあって、

でもNormalとして生きていると目の当たりにすることはなかった。

大橋「丈くん次の仕事休んだほうがええんちゃう？」

藤原「…でもなんて説明すんねん。正直に言ったところで信じてくれるか？」

重苦しい沈黙だった。

Subへの差別は表立っては行われなくなった。

あくまで"表立って"だが。

就職、進学などではほとんどの場合差別をすると問題になる。

ただ、人々の心理としてSubには何をやってもいい、というものがあるのは事実だ。

DomがCommandで強要したと言ったところで、

Subだって喜んでるんでしょ？と言われてしまう。

事実、俺もそういう考えを持っていたときもあった。

でもあんなにも苦しそうな丈くんを見た後に、

そんなことは微塵も思えなかった。

信頼関係のないDomとのPlayやCommandはSubにとって恐怖でしかないのだ。

この空気に不似合いな音で大橋くんのスマホが震える。

大橋「もしもし。あぁはい。すぐ行きます。すんません。」

丈くんを気遣うように一瞥したあとこちらを向いて言った。

大橋「マネージャーさんがそろそろ時間や、って呼んどる。はよ行かな。」

大丈夫や、と言い張る丈くんに大橋くんが肩を貸して歩き出す。

次は収録じゃなくて取材だから大丈夫であれ、と祈りながら移動を始めた。