壊れても (ページ19)

今日:10 hit、昨日:14 hit、合計:67,270 hit

16 ページ19

大西side

無事に収録が終わって、楽屋ののんびりとした空気の中で過ごす。

そろそろ時間かなぁとみんなが動き出した頃気づいた。

大西「あれ？丈くんは？遅ない？」

ほんまや、とざわざわし出す。

そんな中大橋くんの顔色がさっと青くなった。

大橋「やばい。プロデューサーさんに会ったんかもしれへん。

……探さな。」

言うが早いかダッシュで楽屋を出ていってしまう。

大橋くんの言葉を聞いた瞬間、全員顔から血の気が引いていた。

前の現場を俺は見ていない。

彼らの恐怖を理解しているようでしていない。

とりあえずみんなで探そう、となり俺らも各々の方向へと飛び出した。

さっきのスタジオに行ったり、顔見知りのスタッフさんに声を掛けたりして探していく。

丈くん！と呼ぶ声が小さくなり息切れもして限界が近づいてきた。

トイレ行って、その後は、、、

と、うろうろしていると、

自販機のそばに不自然に半開きになっているドアを見つけた。

丈くん！と部屋の中に飛び込めば、

冷たい床の上で乱れた呼吸をしている丈くんがいた。

大西「丈くん！どしたん！大丈夫？今みんな呼ぶから、、」

俺の大声での呼びかけも全く届いていないようで、

死んでしまうのではないかと心細くて、恐ろしくなる。

震える手でスマホを操作し、グループにメッセージを入れ、

見ていないかもしれない、と大橋くんに電話をかけた。

大橋『ﾊｧ､りゅうせっ！丈くん居ったん！？』

こちらが話し始める前に息切れをした声が飛び込んできた。

大西「うん！居った！自販機のすぐ近くの空き部屋！

息がすごい荒くて、早く来て！？」

分かったと言う時間も惜しいらしく、無言で通話は切れた。

グループに送ったメッセージは既読が4になっていて、

全員に連絡は行き届いたのだと思う。

恐らく1,2分だった。

普段なら誤差で済ませてしまう時間。

はっはっ、という呼吸をする丈くんと2人きりでは永遠のように思えて、

丈くん、丈くん、と縋るように声をかけ続けても目は虚ろなままだった。