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Episode136 ページ49

突然の衝撃によろめくが、相手は幼い少年、こける程ではない。
しかし、驚いたアルジャーノンは肩から飛び降り、何処かへ逃げて行ってしまった。

「アルジャーノン!」

すばしっこい小さな身体はすぐ見えなくなってしまう。

まぁ、賢い子だし、そのうち帰ってくるか。

「君、大丈夫?」

ぶつかったのは紺のヘアバンドをつけた元気そうな少年。
反動で倒れてしまった彼に手を差し出すと、その手は何故か払い退けられる。

「真っ黒な服……お前、マフィアだな!」

ビシッと音が出そうなほど真っ直ぐにさされた指の先は、明らかにAを向いている。

「へぇ、見ただけでわかるの?」

返答を濁し、大人げない笑みで少年に詰め寄る。

「うっ……。」

ただの当てずっぽうのようだ。
しかし、何故幼い少年がマフィアなどという発想に至るのか。

「克巳!」

名前を呼ぶ声に、少年が反応する。
どうやら保護者が来たようだ。

「じゃ、前見て歩きなよ僕。」

そう言って立ち去ろうとすると、曲がり角から現れたのは、よく見た赤毛に長身。

「あれ、織田作さん?」

「A。」

少年の保護者は織田だった。
思いがけない出会いに、Aは驚きを隠せない。

織田作さん子供いたの!?
そんな話聞いたことないけど……。

「織田作の知り合いか、やっぱりマフィアだな!」

克巳少年はそう言って、またAを睨みつける。

成る程、マフィアの発想は織田作さんの影響ね。

「おい。ぶつかっておいてそれは失礼だろう。きちんと謝ったのか?」

保護者らしく、無邪気な態度もたしなめる織田。
その指摘に、克巳も少しバツが悪そうに謝る。

「ぶつかっちゃって、ごめんなさい。失礼なこと言ったのも、あと、オレのせいでネズミ……。」

謝りながらだんだんと身体が縮こまっていく。
どうやら素直で良い子のようだ。

「大丈夫だよ。アルジャーノンはそのうち自分で帰ってくるから。」

Aが慰めるように頭を撫でると、少し恥ずかしそうに目を伏せる。

チャーリーもこのくらいだったな……。

「俺が目を離したせいだ。悪かったな。昼飯がまだなら、詫びに奢るぞ。」

食事の誘いにAが乗らないわけがない。
織田の子供についても気になるところなので、ありがたく着いて行くことにした。

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noel(プロフ) - 星猫さん» いえいえ、ありがとうございます (2020年4月14日 19時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - こちらこそすみませんです;;更新頑張って下さいね。 (2020年4月14日 19時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
noel(プロフ) - 星猫さん» お誘いは凄く嬉しいんですが、今年受験生でして…。コロナのせいで今が暇なだけなので、他の方と合作は厳しそうです。誘っていただいてありがとうございます。すみません!! (2020年4月13日 22時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - あの、私と一緒に合作しませんか? (2020年4月13日 19時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
ぬい(プロフ) - noelさん» うれしいです! 楽しみにしてます (2020年4月11日 14時) (レス) id: 1f95c5a6f6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:noel | 作成日時:2020年4月8日 17時

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