夕焼け色に染め上げて 参【文スト】

Episode134 ページ47

「以上が捜査報告になります。」

Aは黒の着慣れた服に身を包み、首領室での報告を済ませた。

「成る程ねぇ、政府との取引だった訳か。確かに、あの一件は最適解だったとはいえ、世に出ていいものではない。政府が我々の力を抑制しようとしている、か……。」

あの一件、というのも森はすぐ思い当たるようだ。
気になる事ではあるが、これ以上は捜査の範囲外。
Aの出る幕ではない。

「最近の政府には裏があるようだが、それはまだ時期ではない。有島の事も後はこちらで引き受けよう。」

少し考え込んだ森は、難しげな表情を解き、にっこりとAに微笑む。

「ご苦労だったねAちゃん。一ヶ月もかからないとは、君はやはり素晴らしい。」

ご褒美何がいい？と聞かれ、素直にケーキと答えると、少し驚いた表情の後に笑われた。

「真剣ですよ。安吾さんはいつもくれます。」

少しむくれてAが言うと、森は全く悪びれずに謝る。

「ごめんごめん、君はかわいいなぁ。ケーキでいいんだね。最近働き詰めだったし、明後日くらいまで休むと良い。その後は、また暫く安吾君のところだよ。」

働き詰めとはいえ、身体的には楽な二週間だった。
溜まっているのは精神的疲労だ。

「ありがとうございます。じゃ、失礼します。」

バイバイと陽気に手を振る森に軽く一礼し、部屋を出る。

三日近くも何しようかな。
とりあえず、ルパンには行く。

いざ暇になると、特別したい事も思い当たらない。
まだ昼にもなっておらず、今からルパンへ向かうわけにもいかない。

「とりあえず、アルジャーノン。」

適当に街に出ることに決め、アルジャーノンの迎えのために、一度家へ戻った。

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