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Episode132 ページ45

「おや、あれは有島君じゃないかね?」

五メートル程の距離に有島がいる。

もう少しだったのに!

仕方なく老人に一礼し、わざと有島の視界を横切るように会場を抜け出し、個室トイレへ向かった。

あの老人以上に詳しい情報を持つ者はいないだろう。
核心までは至らなかったものの、重要なキーワードは手に入れることができた。
後は有島自身を揺さぶるしかない。

計画通りトイレに入ってきた木村を個室に引き入れ、衣服を交換する。
異能力でマフィア本部へ送り返すと、すぐさま木村の姿で有島のもとへ戻る。

「先生、さっき鈴木さんが会場から出て行ってるのを見たんですけど、来れたんですね。」

何も知らないフリをし、特有の無邪気な笑顔で伝えると、有島の眉間のシワが深くなる。

先程の姿はちゃんと目撃してくれたようだ。

「どうしました、先生?」

「いや、何でもないんだ……。」

ちょっと失礼、と携帯を取り出す有島。
勿論そちらも対応済み。
呼び出し中の音が鳴り続けるだけだ。

「有島先生、お久しぶりです。さっき鈴木さんにお会いしましたよ。」

再び出てきた鈴木の名前に焦りが募る有島。

「お久しぶりです。彼女、何て言ってました?」

怪訝そうな顔をするのは、先程Aが軽く挨拶を交わした男。
自分の秘書の行動を把握していないなど、おかしな話だろう。

「挨拶したくらいですが、今後ともよろしく、と。」

『今後ともよろしく』
それ自体は通常の挨拶だ。
だが、この男の父親はポートマフィア関係者。
有島にとって今後がある相手ではない。

有島の混乱をよそにパーティーは佳境に向かって行き、Aは一人隣でほくそ笑んでいた。

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noel(プロフ) - 星猫さん» いえいえ、ありがとうございます (2020年4月14日 19時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - こちらこそすみませんです;;更新頑張って下さいね。 (2020年4月14日 19時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
noel(プロフ) - 星猫さん» お誘いは凄く嬉しいんですが、今年受験生でして…。コロナのせいで今が暇なだけなので、他の方と合作は厳しそうです。誘っていただいてありがとうございます。すみません!! (2020年4月13日 22時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - あの、私と一緒に合作しませんか? (2020年4月13日 19時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
ぬい(プロフ) - noelさん» うれしいです! 楽しみにしてます (2020年4月11日 14時) (レス) id: 1f95c5a6f6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:noel | 作成日時:2020年4月8日 17時

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