Episode69 ページ20
辺りに粉塵が舞う。
ぺしゃんこに潰れた車から降りると、黒服に周りを囲まれる。
「太宰テメェ！Aも乗ってんだぞ！」
「安心したまえ。彼女がいるのは間違いなく上層階さ。」
断言する太宰。
しかしこんな時、太宰の作戦や読みが外れることはない。
それは相棒の中也が一番よく理解していた。
現に、車が飛び込んできたせいで、船は暫く出航することはできなくなった。
「だったらとっとと上に行くぞ。全員相手してたらキリがねぇ！」
太宰が無線で部下に指示を出す。
「下級構成員は芥川くん達に任せた。じきに黒蜥蜴も来る。私達は手っ取り早く重役の首を取ろう。」
既に周りの男達を蹴散らした中也は、船内案内図を見て近くのエレベーターを探すが、太宰が引き止める。
「先ずは機関室だ。エレベーターを止めよう。」
「んなことしてる暇はねぇ！」
喚く中也を一瞥し、太宰が静かな声で言う。
「私の作戦が間違っていた事は？」
「……。」
中也は無言で答えない。
「船内での地の利は向こうにある。好きに動かれては堪らない。それに、こちらの戦力が到着するまで、君一人で耐えられるのかい？」
普段の中也なら即座に肯定できる。
しかし今回の相手は普段とは違う上に、船内の戦力も未知数だ。
正面突破して、ポートマフィアが勝てるとも限らない。
二人は機関室に走った。
………………………………………………………
「これで大丈夫だ。さぁ、姫の救出に向かおう。」
地下の機関室。
電力盤を操作する太宰と、襲いかかる黒服を屍の山に変える中也。
太宰の仕事が終わったのを見届け、中也は堰を切ったように部屋から飛び出す。
地下から一階へ出ると、突然太宰の身体を持ち上げる中也。
「ちょっと、男に抱きつかれる趣味なんてないのだけど！よりによって中也とか。」
「うるせぇ、テメェがエレベーター止めるからだろ！」
太宰の抗議を尻目に、中也は窓から外へ飛び出す。
船体に垂直に立つと、そのまま上へ駆け上がり、最上階の窓を蹴破った。
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noel(プロフ) - あやねっちさん» 嬉しいです！！ありがとうございます、これからも頑張ります (2020年4月4日 18時) (
レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
あやねっち - 1からここまでよみました 最高でした更新楽しみにしていますね (2020年4月4日 16時) (レス) id: a393e3772d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：noel | 作成日時：2020年3月30日 9時
