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「梓ちゃーん、こっち!」
『あ、いたいた。お待たせ!』
「全然待ってないよ(笑)」
約束の土曜日。
翔太から予定を聞けば真冬と96猫さんを誘って、一緒にカラオケに行くらしい。
『でも私、96猫さんと面識ないよ?』
「96ちゃんはフレンドリーだから大丈夫!」
『……そっか』
そんな問題でもない気がするけれど。
一抹の不安を抱えながら、駅前のカラオケに向かうと、少し小さい女の人と背の高い男の人が立っていて。それがすぐに真冬と96猫さんなのだと気付いた。
「よっ、天月!……その方が、梓さん?」
『あ、はい!立花 梓といいます!』
「じゃ、梓って呼ぶー。わしは黒川 なつめ!聞いてると思うけど、96猫です!」
『あ、私、96猫さんの歌大好きです…!』
私がそう言うと、96猫さんは照れながらもニッと笑う。
96猫さんと話していると、真冬が頰を膨らませていた。
「梓ちゃん!僕ら空気なんだけど!?」
『ふふ…真冬も久しぶり。ライブ楽しみにしてるね』
「梓ちゃん…!!」
笑顔で抱きついてくる真冬を抱きとめていると、翔太が私たちを急かした。
梓≪@Azusa_JBF:カラオケしてます!≫10:17
部屋に入れば 最新の曲が紹介されていたりしていて、気分は上々。
「ドリンクバー頼んであるから取りに行こっか?天月くん行くよー?」
「先に行ってて!彼方さんに連絡しないといけなくて…」
『…っ、じゃあ先に行くね』
" 彼方 "という名前に反応してしまった自分から目をそらすように、96ちゃんと真冬を急かした。
***
〈彼方/そらる さん〉
画面に映し出されたその名前をタップして電話をかける。3回目のコール音が途中で切られ、
「…もしもし」
そう、眠そうな声が聞こえた。
「あ、そらるさん!今真冬と96ちゃん、梓ちゃんとカラオケ来てるんです!
…場所はいつものとこです。来ませんか?」
「行くと思ってるわけ?」
「梓ちゃんとしっかり向き合わないといけないでしょ?彼方さん辛いくせに。」
「……うるさい」
「来てください。真冬が梓ちゃんを楽屋に誘ったのは…、真冬なりに、彼方さんと梓ちゃんに仲直りしてほしいからですよ」
「……」
「とにかく。絶対ですから。」
失礼します、と一言だけ言って通話を切った。
そらるさんからの返事はないけれど。
あの人のことだ。きっと来てくれる。
ここのカラオケはそらるさん家から近いし。
暗くなった画面を見て、そのまま3人を追いかけた。
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雷亜 - 私って涙もろいんですよ(笑)一ページ 一ページ泣いて泣いて泣いて(笑) もうすごいですよ涙の量が((殴 (2018年4月7日 9時) (レス) id: e1e03b0ec4 (このIDを非表示/違反報告)
まひる(プロフ) - 読みやすいしキャラが掴めていてとても楽しく拝見させていただいています。好きです。 (2017年12月10日 10時) (レス) id: 9ac8f0bb45 (このIDを非表示/違反報告)
MiKU(プロフ) - 星華(´∀`*)さん» ありがとうございます!無事第1章が完結してこちらも嬉しい限りです…!そう言っていただけて私も頑張って書き続けた甲斐がありました!続編含めて頑張るのでよろしくお願いします! (2017年11月14日 7時) (レス) id: fb7ad52b3c (このIDを非表示/違反報告)
星華(´∀`*)(プロフ) - 1章完結おめでとうございます!もう…一気に読んだんですが…涙が…。すごく好きになりました!!続編楽しみにしてます!頑張ってください! (2017年11月13日 16時) (レス) id: 110a37d70c (このIDを非表示/違反報告)
MiKU(プロフ) - 唄葉さん» 唄葉さんありがとうございます!大好き、なんて言葉わたしにはもったいないです……!第2章でも頑張らさせていただくので、よろしくお願いします!ありがとうございました!! (2017年11月4日 16時) (レス) id: fb7ad52b3c (このIDを非表示/違反報告)
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