#33 ーThe Presentー ページ35
「そんなことありましたねぇ」
「あの時の真冬はどうかしてたよ。」
「だって、大事な友達が他の人に取られたら悲しいじゃないですか!」
そう言って笑う真冬。
真冬も、翔太も、俺も、梓と出会って変わった部分があるんだと思う。
自分の知らない感情に気づけたのも、梓のおかげだから。
そしてその大切な"感情"を捨てたのは俺だった
「そういえば僕、やりたいことがあるんです」
「何?」
「タイトルをつけるなら…そうですねぇ」
顎に手を当てて、うーんと唸ると 思いついたのかパッと顔が明るくなった。
整った唇が動いて その考え付いたタイトルを言葉にする
「" ひきこもりたちでもフェスがしたい! " ですかね?」
ー 梓side ー
『これが、彼方と出会って付き合うまでの話です』
改めて思い出してみれば出会うから付き合うまでの期間は短かった。
そのかわり付き合ってから別れるまでの四年間でお互いのことを知るために、頑張っていた
いろんなところへ出かけたり、たまにはお互いの家に行ったり、お泊まり会のようなものをしたり。
彼方が大学を卒業してしばらくたった時に親御さんに挨拶しに行ったこともあったっけ。
そして、…体を重ねたこともあった。
私たちが出会い、付き合って、別れるまでの約五年間。
真摯に向き合って、互いを知った。
幸せだった。
これ以上ないと思っていた
そんな五年も続いた幸せは、たった一言の言葉で崩れ去ったんだ
「聞けてよかったわ。
ありがとうね」
『いえいえ、こちらこそ』
いつの間にかテーブルに置かれていたお酒の中の氷が音を立てた
「梓ちゃん」
『何ですか?』
「好きやで。」
いつもは澄ましているはずの享さんの顔は、すごく悲しそうで瞳は揺れている。
縋るように見つめられ、私はそれを見つめ返すことができずにそらしてしまった。
悲しそうに視線を下に落とす、歪んでしまった享さんの顔。
「帰ろっか」
『はい』
また、壊れていくような気がした。
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雷亜 - 私って涙もろいんですよ(笑)一ページ 一ページ泣いて泣いて泣いて(笑) もうすごいですよ涙の量が((殴 (2018年4月7日 9時) (レス) id: e1e03b0ec4 (このIDを非表示/違反報告)
まひる(プロフ) - 読みやすいしキャラが掴めていてとても楽しく拝見させていただいています。好きです。 (2017年12月10日 10時) (レス) id: 9ac8f0bb45 (このIDを非表示/違反報告)
MiKU(プロフ) - 星華(´∀`*)さん» ありがとうございます!無事第1章が完結してこちらも嬉しい限りです…!そう言っていただけて私も頑張って書き続けた甲斐がありました!続編含めて頑張るのでよろしくお願いします! (2017年11月14日 7時) (レス) id: fb7ad52b3c (このIDを非表示/違反報告)
星華(´∀`*)(プロフ) - 1章完結おめでとうございます!もう…一気に読んだんですが…涙が…。すごく好きになりました!!続編楽しみにしてます!頑張ってください! (2017年11月13日 16時) (レス) id: 110a37d70c (このIDを非表示/違反報告)
MiKU(プロフ) - 唄葉さん» 唄葉さんありがとうございます!大好き、なんて言葉わたしにはもったいないです……!第2章でも頑張らさせていただくので、よろしくお願いします!ありがとうございました!! (2017年11月4日 16時) (レス) id: fb7ad52b3c (このIDを非表示/違反報告)
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