Just be Friends【そらる】

#22 ページ24

眠ってしまったそらるをそっとソファーに横たわらせる。

熱はまだ下がらない。


『初めて、見た』


あんな風に泣く姿を。
泣きじゃくる姿を。

前のそらるは私の前で泣いたことなかった。

体調が悪いから感情が高ぶったとか、そんなものじゃない。
そらる にとってこのライブは思い入れがあるものだったんだ。

来てくれたリスナーのみんなに楽しんでもらうためにこれまで頑張ってきたから。


『本当に、悔しいんだ』


胸がずきりと痛む。

だめだ。
このままじゃ、私はそらるの元へ戻ろうとしてしまう

そんなことをしちゃ、だめだ。









「あ、そらるさん寝たんですね」

『まふまふ…』


ガチャ とドアを開いてまふまふは入ってきた。
ライブが終わった後だからか、ぞろぞろと入ってきた演者の肌には汗が滲んでいる


「まふ、このあとCOUNTDOWN PARTYのリハやるって」

「わかりました、うらたさん」


梓ちゃんもくる？ と坂田さんが誘ってくれる。

そらるの看病をするつもりでいたけど、本来の私の目的は カウントダウンライブに行くこと。

チケットだって持ってる。
準備だってしてきた。

でも、やっぱり私は＿＿



『ごめんなさい、皆さん
私、やっぱりリハーサルにも、ライブにも行けないです…』

「うん、梓ちゃんならそう言うと思ったよ！
梓ちゃんはそらるさんの事大好きだもんね！」

「坂田…」

「え、あ、ごめん！」

『ふふ、いいんですよ。』



坂田さんは安心したように笑って、私の頭を撫でた。
優しくふわふわと撫でて、


「そらるさんの看病ありがとうね。
僕達はそらるさんの分までみんなを楽しませてみせる。
だから、安心して。」


『…はい、よろしくお願いします！』




「坂田、リハーサル行くぞ」





ドアを開けて出て行くみんなの後ろ姿は、すごく広く感じた。



かっこよかった。









––21:30 開場







––22:30 開演





モニターに映る5人の姿。

全員での脱法ロックから始まり、ロストワンの号哭も歌う。

そらる(彼方)が、そこにいるかのように、みんなが歌っていく


会場のペンライトにも青が見える
みんなが そらるを想い、そらるを応援するようにペンライトを揺らす


「5！」



「4！」



「3！」



「2！」



「1！」





「「「「「Happy New year!!!」」」」」







年が明ける。





眠っているそらるの瞳から涙が一筋、頰を伝った。






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