Just be Friends【そらる】

#21 ページ23

数時間後。


リハーサルも、曲の調整も終わり、一つ目の公演が始まった。



Twitterやアナウンスで
"そらるが体調不良により出演キャンセル"
とまふまふがお知らせを流し、

Twitterではトレンドに入るほどの荒れようにもなった。




『…そらる、体調どう？』

「…」



そらるの体調は一向に改善せず、逆に悪くなっていった。









『そらる。私、ちょっとコンビニ行って飲み物とか買ってくるね』

「……」



荒い息遣いが聞こえる。
それでも頷いた姿を確認して、早足で控え室をでた。









–そらるside–


バタンと閉まったドア。
額に乗せられた水に濡れていたタオルは、自分の体温でぬるくなっていた。
高熱で頭はぼーっとするし、喉の痛みは増して掠れた声しか出ない。

控え室に付けられたモニターには、ライブ会場が映し出され、そこではまふまふ達が歌っていた。




＿＿さっきまふまふが、俺の出演キャンセルについて謝ってたなぁ



俺が開演直前まで悩んでたから…






………こんなんで、いいのかな



………俺、もういなくていいかな





涙が溢れてきた。
ポタリ、ポタリと溢れて、頬を伝う。

仰向けになって腕で顔を隠しても、止まらない涙。




「…っう、う……」




掠れた声が聞きたくなくて、耳を塞いだ。


自分がここにいる意味がわからなくなっていた。




頭を下げてステージを降りたまふまふが、モニターに映った。

「ごめ、ごめん…」









–梓side–


ガサガサとレジ袋の中で買ったものがぶつかり合う。


『水も買ったし、食べれそうなものも買ったし…』




袋の中身を確認しながら、早足で控え室に向かう。

ドアノブに手を伸ばせば、中から嗚咽が聞こえてきた。


…彼方？




ガチャリと勢いよくドアを開けて、袋を机の上に放り投げる。


ソファーに近づけば、彼方は泣いていた。



いてもたってもいられなくて、彼方を抱き寄せて、抱きしめた。





「…なんで…っ」

『彼方…ちゃんと、言いたいこと言っていいんだよ』

「…っ」

『一人で抱え込まないでいいんだよ』





「梓…俺、その、っごめ…」

『うん』

「みんな、ごめ、て」

『…うん』




「悔しい…くや、し…よ」






掠れた声で、途切れ途切れでも言おうとしてくれた



『彼方』



彼方は嗚咽を漏らしてずっと泣いていた








しばらくすれば、いつの間にか彼方は寝息を立てていた。

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