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遭逢。 ページ3




『えっと、その…なんですかさっきからチラチラと』


「へ!?あ、ごめん!」


嫌悪感を抱いた、と言ったものの、
俺はあろうことか不思議な魅力を纏った少女に目を奪われていたようだ。



申し訳ない。


初対面のよく分かんねぇ男にジロジロ見られるなんて気味悪がられても仕方ねぇよな。



小さな屋根の下で見知らぬ少女が本を読み始めた。




その隙に俺はスマホに夢中になっている振りをして
彼女の様子を盗み見る。





長いツヤツヤとした麗しい黒髪。

凛としたつり目の透き通った瞳。

スカートから伸びる細くて長い白い足。




胸は……うん、見なかったことにしよう。
彼女はきっと俺より年下なんだろう。




俺は何事もなかったかのように視線をスマホに戻すがなんやら隣から唯ならぬオーラが漂っている気がするのは気の所為だろうか。



『あの、やっぱりさっきから私の事見てますよね』


ぎくぅ!

気の所為じゃなかった……!

大きく肩が跳ねればもうごまかせない。




「あっ、えっと、……あぁ、君は、中学生?あと名前も聞いてないなぁ〜…なんて」





ごまごました痛い言い訳を吐けば案外すんなりと俺の言葉を飲み込んでくれた。




『私は黒澤 A。残念ながら17歳の立派な高校生ってやつです』





マジかよ、俺と同い年じゃん。
全然それらしく見えない。




要は幼く見えるって訳よ。





今だってほら、怒った顔してツンっとそっぽを向いている様子はいかにも子供って感じ。




うちのクラスの女子の方がまだ大人だ。



『で、あなたは?なんていうの?』





なんとも偉そうな口調。上から目線。

なんかすげぇ腹立つな。





「俺は桃谷 さとみ。お前と同じで17歳、高校生ってやつ」


『ふーん』




自分から聞いといて興味なさげな表情が
なんとも憎たらしい。



畜生、1ミリも可愛くねぇな。
絶対黙ってたらモテるのに。



……ってあれ。そういえばこの女、
何で本しか持ってないんだ?




「……A、さん?制服は?どこ高なの?私服の高校この辺にないよな?ちゃんと学校行ってる?」





多分人間が聞かれたら嫌がる質問TOP10以内に入るような事を立て続けに聞いてしまった気がする。





『…あぁ、私』




"高校生だけど、高校に通えないんです"



いかにも訳ありって感じの表情で寂しそうに俺を見上げた彼女は何だかこの世界の生き物ではないように見えた。

墜落。→←少女。



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作品ジャンル:恋愛
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眠民。 - 颯桜さんの作品は、涙が出るほど切ないお話が沢山あるけれど、でもその涙って美しいと思うんですよ‥(語彙力)今回のお話も泣きました!!笑 (2月8日 18時) (レス) @page36 id: 7e432fa76e (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - 余白の落書き。さぶさん» 神だなんて恐れ多い☺️楽しんで頂けて幸いです (2023年1月16日 3時) (レス) id: f6025f27a2 (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - ネコ日和。さん» ありがとうございますとても嬉しいです😢‪🫶🏻 (2023年1月16日 3時) (レス) id: f6025f27a2 (このIDを非表示/違反報告)
余白の落書き。さぶ - え、神ですか……?神作をありがとうございます! (2022年8月19日 19時) (レス) @page35 id: 74c80fc40d (このIDを非表示/違反報告)
ネコ日和。 - 好きすぎて、題名の一部を名前にとりいれちゃいました。 (2022年8月2日 15時) (レス) id: 18b130b5d8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:颯桜 | 作成日時:2020年5月8日 21時

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