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来雨。 ページ1





「あぁ、やっぱり雨止まねぇか」



ため息混じりの俺の声。


…なんて憂鬱な。



「梅雨入りしたんだからそう簡単には晴れないよ、さとみくん」



休み時間、ふと教室のカーテンをシャッと音を立てて開ければそこから見えたのはどんよりとした雲から滴り落ちる透明な雫たち。


残念だな。

あのグラウンドを今日も走り回れないなんて。





俺は清々しくホームランを打ちたくて堪らないんですけど。




まぁ "雨が降った" ということは従って
今日も当たり前のように部活をサボることになるのだから結局は関係のない話だ。




仏みたいな優しさの塊で自慢の友人であるなーくんと共に昼食をとるが、それすらも雨のせいでやはり気分は憂鬱なまま。



放課後になればその憂鬱さは更に存在を大きくして
俺の前に立ちはばかる。



「えぇ?さとちゃんまた部活来ないん?今の時期に筋トレしておかんと後々後悔するで?」





「んー、いいのいいの。家でもできるし」



「よくないやろ!野球部は来年の甲子園に向けてみんなで一生懸命血を吐く思いで───って聞いとるん!?」


他クラスだけど部活が同じで仲良しのジェルが俺をそうやって説得するがそれに対しても曖昧な返事をして
カバンを1人寂しく背負うのは今月に入ってから何回目だろうか。



後ろから、



今日も(・・・)ちゃんと傘さして帰れよー!?」



と大声で忠告してくれる彼はすげぇ良い奴。





だから彼奴を置いて帰路を目指す自分の罪悪感が増す。






せめてジェルがもっと性格悪いやつだったらこんな暗い気持ちなんて抱かなくて済んだのに。






気分はもちろん、

性格までとことん悪い方向へとひん曲げてしまう
雨が俺は嫌いだった。





特に何かされた訳でもないし、
雨に嫌な思い出がある訳でもなかったのに。




何故か俺は雨を酷く恨んでいた。





そんな胸糞悪い気分を繰り返させる6月、
何も変わらない雨の日常。





梅雨の幕開け、俺は憂鬱な面持ちで
なんの色味も持たない世界を不格好なままに歩き出すんだ。

少女。→



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作品ジャンル:恋愛
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眠民。 - 颯桜さんの作品は、涙が出るほど切ないお話が沢山あるけれど、でもその涙って美しいと思うんですよ‥(語彙力)今回のお話も泣きました!!笑 (2月8日 18時) (レス) @page36 id: 7e432fa76e (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - 余白の落書き。さぶさん» 神だなんて恐れ多い☺️楽しんで頂けて幸いです (2023年1月16日 3時) (レス) id: f6025f27a2 (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - ネコ日和。さん» ありがとうございますとても嬉しいです😢‪🫶🏻 (2023年1月16日 3時) (レス) id: f6025f27a2 (このIDを非表示/違反報告)
余白の落書き。さぶ - え、神ですか……?神作をありがとうございます! (2022年8月19日 19時) (レス) @page35 id: 74c80fc40d (このIDを非表示/違反報告)
ネコ日和。 - 好きすぎて、題名の一部を名前にとりいれちゃいました。 (2022年8月2日 15時) (レス) id: 18b130b5d8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:颯桜 | 作成日時:2020年5月8日 21時

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