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七海のように肩から提げてもいいんだが、刀は意外と重い。あと邪魔。
腰に提げるのもやったことがあるが、そんな格好で外に出たら一発で通報されるよ、と母に言われ今の状態に落ち着いた。
むしろそれがあったから、道具に呪力を込めて操ることが出来る、ということに気づけた。
「でも!刀使うってかっこいいよね!七海も思わない?」
「は?いや⋯まぁ、」
私達は、近接戦という点で共通しているだけで、各々戦闘スタイルは全く異なる。
灰原は肉体。七海は
基本的に武具や呪具を使わない灰原は、度々私や七海の戦闘スタイルを見ては「かっこいい」と褒めてくれる。
最初は慣れなくて戸惑っていたが、今では耐性もつき、七海は「はいはいありがとう」なんてほぼスルーしている。
「⋯ほら、そろそろ始めるぞ。次は私と灰原」
「はーい!」
そう言って立ち上がった七海と起き上がった灰原。
⋯⋯でもまぁ、褒めてくれるのは素直に嬉しいことだ。
『──ありがとう。でも、灰原もかっこいいよ。⋯もちろん七海もね』
フードを被っていない、普段より広く明るい視界に入る灰原の頬に付いている小さな芝生と土を払い、笑みを浮かべる。
少し視線をずらし、七海の方にも向くと、目を少し見開いて固まっていた。
『?じゃあ、時間測るから。頑張って』
「あ⋯⋯、うん!!!!!行ってくる!!」
「うるさい」
拳や脚を交え戦う二人を見ながら、何を奢ろうかなぁ⋯なんて考えていた。
──
「雅アクエリありがとう!!」
「ありがとうございます」
『うん、次は負けない』
昼休み。ジャージから制服に着替え、約束通り二人に飲み物を奢った。
食堂のお昼ご飯とか、好きな物で良かったのに、と言えば「女子にそこまでお金出させる訳には⋯」と遠慮された。
あ、これは将来二人とも紳士に育つな。と確信した瞬間であり、先輩はやはり遠慮を知らないのか、と再認識した瞬間であった。
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レモネード - いいですね! (5月28日 13時) (レス) @page8 id: abd64666f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちあき | 作成日時:2022年9月22日 19時