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『はー⋯⋯ッ、痛⋯?』
あれこれと考えている途中、腹部がつき、と痛んだ気がして、起き上がり、いつの間にか着させられていた患者服をたくし上げた。
───!!
臍を中心に、左右対称の痣のような紋様が浮かんでいた。
触っても特に痛みや違和感はなかったのでつつ⋯となぞるようにして紋様に指を滑らせる。なぜこんなものが⋯と考えかけたが、一つだけ心当たりがあった。
『⋯術式か、』
“──────くふふ、⋯さようなら、呪術師”
あの時お腹に当てられた手、あれしかないだろう。この紋様は術式がしっかりと発動している証拠。あぁ、本当にここは──────
がちゃり、
医務室の扉が開き、赤いポンポンが付いた帽子───どこか見覚えがあるような───を深く被った男性がトレーを片手に入ってきた。
まだ服を上げて肌を露出した状態の私と彼の視線が(多分)絡み合い───
『ッあ、』
慌てて服を下ろした。別に肌を少し見られるくらいなんてことないが、紋様は見せてはいけないような気がした。まぁ手遅れだろうけど。
「⋯あー⋯、悪い」
『え、あ、いえ⋯』
気まずい雰囲気になってしまったが、彼はそのまま私の傍にやってきて、椅子に腰かけた。
トレーをサイドテーブルの上に乗せ、コップに入った水を差し出して飲めるか?と私に問いかけてきた。こくりと頷き、コップを受け取って飲み込んだ。
「あとこれ、お粥作ったんだが⋯食えそうか?」
『!あ⋯ありがとうございます。⋯頂きます』
ベッドに座り直し、布団の上にトレーを置いてもらい、手を合わせてからスプーンを手に取った。が、任務の疲れか、はたまた海中で手を攣ったりでもしたのかはわからないが、うまく力が入らずスプーンを落としてしまった。
───カチャ、ガチャ⋯⋯
「⋯、⋯あー⋯貸せ」
『⋯!あ、』
なかなか食事にありつけない私に痺れを切らしたのか、トレーごと取り上げ、スプーンを手に取ってお粥を掬い口元に差し出してくれた。
一瞬理解が追い付かず固まってしまったが、ここは好意に甘えるとしよう。もう一度お礼を述べてスプーンに口を付けた。
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ちあき(プロフ) - shionさん» 初コメありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです!!続編までもう少々お待ちください!! (2022年9月29日 8時) (レス) id: 2fefdf0ec1 (このIDを非表示/違反報告)
shion - 初コメ失礼します!!読んだら本当に止まらず、すっごく面白くて!!もっと早くに出会っていたかったですっ…!続編ずっと待ってます!! (2022年9月29日 1時) (レス) @page50 id: f0db8db4d6 (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - ttakedasaki0906さん» ありがとうございます!!そうですね、キッドさんも続編以降出せたらなとは思ってます!楽しみにしていて下さい!^^* (2022年9月28日 16時) (レス) id: 1ed832ee63 (このIDを非表示/違反報告)
ttakedasaki0906(プロフ) - ローの独占欲が最高すぎてニヤニヤしちゃいます笑!!キッドも好きなのですがキッドは登場予定はありますか!?(≧∀≦) (2022年9月28日 0時) (レス) @page50 id: 668cdece5e (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - きゃーぽんさん» わあ、、出会ってくれてありがとうございます!!頑張ります! (2022年9月27日 11時) (レス) @page34 id: 2fefdf0ec1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちあき | 作成日時:2022年9月22日 18時