呪術師と一人旅 ページ39
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普段は当てられない色気に、男性の近さ。慣れない経験を一気にしたせいで脳内がキャパオーバーしてしまったようだ。
気絶するようにして眠った私を船まで運んでくれたローさん。
目が覚めると、上半身を脱いだ、半裸の彼が目の前で寝ていて思わず蹴り飛ばしてしまった。もちろん寝覚めの悪い朝を迎え、気分最悪の彼に捕まり、私は死を悟った。
音を聞きつけたシャチさんに救出され、何とか危機を脱した私は、
「わああA〜!俺まだ離れたくねぇよォ…」
「A〜〜、また一緒にお風呂入ろうね〜!」
「A、次合った時は覚悟して──あ゛?おいベポテメェ」
「あっ、ペンギン待ってギャアァァアア!!!」
船員さんたちの別れを惜しむ声に小さく手を振りつつ、ブチ切れてベポさんを追って行ったペンギンさんを止めるために去っていくシャチさんを見つめながら、最後に私の目の前に立っているローさんに向き直った。
『…改めて、私を拾ってくれて、助けてくれて、色々と親切にしてくれてありがとう…ございました。
……お気をつけて』
「…あァ。A、お前も死ぬんじゃねェぞ。…じゃあな」
さらりとフードと前髪を一緒に持ち上げ、額に軽く口付けた彼は、私が放心している間にふ、と薄く笑ってさっさと船に乗り込んで行ってしまった。
一週間と三日。長いようで短かったこの時間は、普段とは違った意味で刺激的で、濃くて、面白い日々だった。
──────いるかもわからない貴方たちを探して。
それはどれだけ時間がかかるのだろう。どれだけの気力を消費するのだろう。
この果てしなく、終わりの見えない海の上で、私は一人で生きていくしかないのだ。この居候期間、任務とは程遠い生活を送っていたせいで身体が少し訛っている気がする。
ベポくんに貰った
もし、また誰かに拾われるとしたら、彼らのように優しい人たちだといいなぁ…と、少しずつ“こちら”に染まりかけてきた脳を働かせた。
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作者は現役の大学生です。後期の授業が始まったので更新時間が夜になることが増えるかもしれないです。ご了承下さい。
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ちあき(プロフ) - shionさん» 初コメありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです!!続編までもう少々お待ちください!! (2022年9月29日 8時) (レス) id: 2fefdf0ec1 (このIDを非表示/違反報告)
shion - 初コメ失礼します!!読んだら本当に止まらず、すっごく面白くて!!もっと早くに出会っていたかったですっ…!続編ずっと待ってます!! (2022年9月29日 1時) (レス) @page50 id: f0db8db4d6 (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - ttakedasaki0906さん» ありがとうございます!!そうですね、キッドさんも続編以降出せたらなとは思ってます!楽しみにしていて下さい!^^* (2022年9月28日 16時) (レス) id: 1ed832ee63 (このIDを非表示/違反報告)
ttakedasaki0906(プロフ) - ローの独占欲が最高すぎてニヤニヤしちゃいます笑!!キッドも好きなのですがキッドは登場予定はありますか!?(≧∀≦) (2022年9月28日 0時) (レス) @page50 id: 668cdece5e (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - きゃーぽんさん» わあ、、出会ってくれてありがとうございます!!頑張ります! (2022年9月27日 11時) (レス) @page34 id: 2fefdf0ec1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちあき | 作成日時:2022年9月22日 18時