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所変わってポーラタンク号船内。賞金首の部下三名を引き連れてやって来た船長───バロックは何かめぼしいものはないかと、船内を物色していた。
適当な扉を開いては机やら椅子やらを蹴り飛ばし、「何もねェな…」と呟きながら奥へと足を進めて──────
「…?人の気配だ」
「船長!この部屋怪しいぜ」
「ほう?人の気配か」
ある部屋───イッカクとAの女子部屋だ───の前で立ち止まった。
女か、子供か…どちらでもいいが、女なら連れ帰って精々使い倒してやろう。くく、と下品な笑みを浮かべたバロックは、部下に合図をして思い切り扉を蹴り破った。
鍵をかけていたとはいえ、部下の一人、体格のいいゴロタスが拳を一振りすれば、扉は簡単にひしゃげて飛んで行った。
「──ひゃッ」
「!イッカクさん、大丈夫?」
「う、うん…でも、アイツら…!」
バロックの読み通り、女が二人。それを見た彼らはニタリと笑みを浮かべ、ゆったりと二人に近づいた。
「よォ。俺はバロック、8000万の賞金首だ。一度くれェ手配書で見たことあんだろ?こいつらは俺の優秀な部下。全員5000万越えの首だ」
「バロック…何回か見たことある」
余裕そうな表情で立ち尽くす四人と、少しずつ冷や汗を浮かべ焦りが滲み出てくるイッカク。制服が洗濯中のためつなぎを着用しているAは、二人で待機していた時から変わらず無表情だ。
くい、と右手を挙げた瞬間、ゴロタスが素早い動きで二人の後ろに回り込み、片手でそれぞれの両腕を拘束した。
じたばたと抵抗をするイッカクだが、再度バロックが合図を送ると、メリケンサックを着けたリトが右腕を振り上げ、容赦なく彼女の左頬を殴りつけた。
「ッぅあ‶ぁ‶!!」
「!!イッカクさんッ、」
「おいおい抵抗するなよ?宝は見つからなかったが…女が二人もいたんだ。船に帰ったら楽しませてもらうぜ。それに、お前らだって顔に傷は作りたくねェだろう」
「ッげほ、もう手出してるくせに何を…ッ」
「くくッ、まァ威勢のいい女は嫌いじゃねェ…」
口の端が切れ、プッと血を飛ばしたイッカク。痛いはずでも涙は見せず、バロックとリトを睨みつけている。
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ちあき(プロフ) - shionさん» 初コメありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです!!続編までもう少々お待ちください!! (2022年9月29日 8時) (レス) id: 2fefdf0ec1 (このIDを非表示/違反報告)
shion - 初コメ失礼します!!読んだら本当に止まらず、すっごく面白くて!!もっと早くに出会っていたかったですっ…!続編ずっと待ってます!! (2022年9月29日 1時) (レス) @page50 id: f0db8db4d6 (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - ttakedasaki0906さん» ありがとうございます!!そうですね、キッドさんも続編以降出せたらなとは思ってます!楽しみにしていて下さい!^^* (2022年9月28日 16時) (レス) id: 1ed832ee63 (このIDを非表示/違反報告)
ttakedasaki0906(プロフ) - ローの独占欲が最高すぎてニヤニヤしちゃいます笑!!キッドも好きなのですがキッドは登場予定はありますか!?(≧∀≦) (2022年9月28日 0時) (レス) @page50 id: 668cdece5e (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - きゃーぽんさん» わあ、、出会ってくれてありがとうございます!!頑張ります! (2022年9月27日 11時) (レス) @page34 id: 2fefdf0ec1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちあき | 作成日時:2022年9月22日 18時