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昼食もそこそこに、掃除が落ち着いたところを見計らって船の後方に寄りかかりながら座り込む。

普段寮内の掃除をするときとは広さも容量も違うので少し疲れた。
夜と同じように空を見上げてみると、青い空に、薄っすらと雲がかかっている。たまに鳥が飛び去って行くのも見えて、平和だなぁ⋯なんて。






「──お、ここにいたのか」


『!』






どのくらいそうしていたのだろうか、一瞬目を閉じて、ぱっと開くと、目の前にはシャチさんが立っていた。

立ったまま隣に寄りかかり、水の入ったコップを手渡してくれた。彼は「だいぶ片付いたから、もう終わりだと」そう言って水を飲み干す。



同じく水を一口飲んで、立ち上がる。島までどのくらいか、と尋ねるとわからん。とさっぱりとした答えが返ってきた。






「ベポに聞かねェと」


『べぽ⋯⋯?』


「ウチの航海士。ほら、白熊の」


『あぁ、白熊』






朝から気になっていたあの白熊が航海士と聞いてほぉ…と息を漏らす。後で聞いてみるか、と彼は呟いて、少しの沈黙の後、「ペンギンのことなんだけどさぁ」と話を切り出してきた。






「アイツ、お前のこと監視するーって言ってたけど」


『⋯私がそうすればと提案しました。信用に値すると判断できるまで好きなだけどうぞ、と』


「へェ⋯まぁ俺も警戒してないわけじゃねェけど、ペンギンとキャプテンなら何かあっても大丈夫っしょ。確かにアンタからは敵意感じないし。

昼は悪かったな。露骨に警戒しすぎた」


『いえ、それが普通だと思いますし』






そう言うと、はぁ〜〜⋯と息を吐き出しながら座り込んだ。心なしか先ほどよりは距離が近い気がする。






「なんかなぁ⋯アンタと話してたら警戒心緩んできた」






はは、と笑う彼を見て、私も少し表情筋が緩んだ。その後はまた、船長さんやペンギンさんの時のように質問やら、他愛のない話題を交えながら穏やかな午後を過ごした。













──────ふ、と、目を開いた。⋯?先ほどまでシャチさんとお話ししていたのに、目の前に見えるのは自分の足。

膝裏と背中には腕が回されている感触と、程よい揺れ。






ぱっと顔を上にあげると、サングラス越しにシャチさんと目が合った。






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ちあき(プロフ) - shionさん» 初コメありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです!!続編までもう少々お待ちください!! (2022年9月29日 8時) (レス) id: 2fefdf0ec1 (このIDを非表示/違反報告)
shion - 初コメ失礼します!!読んだら本当に止まらず、すっごく面白くて!!もっと早くに出会っていたかったですっ…!続編ずっと待ってます!! (2022年9月29日 1時) (レス) @page50 id: f0db8db4d6 (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - ttakedasaki0906さん» ありがとうございます!!そうですね、キッドさんも続編以降出せたらなとは思ってます!楽しみにしていて下さい!^^* (2022年9月28日 16時) (レス) id: 1ed832ee63 (このIDを非表示/違反報告)
ttakedasaki0906(プロフ) - ローの独占欲が最高すぎてニヤニヤしちゃいます笑!!キッドも好きなのですがキッドは登場予定はありますか!?(≧∀≦) (2022年9月28日 0時) (レス) @page50 id: 668cdece5e (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - きゃーぽんさん» わあ、、出会ってくれてありがとうございます!!頑張ります! (2022年9月27日 11時) (レス) @page34 id: 2fefdf0ec1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちあき | 作成日時:2022年9月22日 18時

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