氷上に咲く花

最後の… ページ23

最終グループの6分間練習。




私はショートで久しぶりに納得の演技ができて6位。




なんとか最終グループに入ることができた。






私は第一滑走のため軽くジャンプする程度で抑える。






最後にコンビネーションジャンプの確認をしたら練習時間終了のアナウンス。





一旦、満知子先生達の元へ行く。




美穂子「気持ちを込めて、"最後"だよ。落ち着いてゆっくり。頑張れ。」




握っていた手を解く。




満知子「Aらしく。いってらっしゃい。」




19番 花咲Aさん 中京大中京高校





満知子先生、美穂子先生と迎える最後の全日本。





実況「さあ、復活をかけたフリーです。2年前、溢れんばかりの才能が花開いたここ東京で。平昌五輪銅メダリスト。5回目の全日本。17歳、花咲A。今の自分にできる最高の演技を。曲は花のワルツ。」








大きな歓声がやみ静寂の中、音楽が流れ始めた。








荒川「3フリップ。綺麗に決まりました。」






自ら志願したこのプログラム。






荒川「3サルコウ、3トーループ。バタフライの入り方からフライングキャメルスピン。」





滑れる喜び、そして楽しさ。






荒川「2アクセル。 難しい入り方から3ルッツ、2トーループ、2ループ。」



満知子先生のもとで学んだ13年間の集大成。





荒川「曲に合った素晴らしいコレオシークエンスですね。」






今日は後半になっても不思議と力が湧いてくる。





荒川「2アクセル、3トーループ。綺麗に決まりました。足換えのコンビネーションスピン。」




技をするたびに、聞こえるのはいつもような悲鳴ではなく拍手。




荒川「3ルッツ。 最後、3ループ！決まりましたね！ウィンドミルからレイバックスピン。ポジションも綺麗です。」




こんなに滑ることが楽しいと思ったのは久しぶりだった。




荒川「リンクを大きく使って体全体で表現できていますね。美しいステップシークエンス。」






実況「復活の花咲A！苦しかった、でも逃げずに闘ってきたこの1年半。すべての思いが涙となって頬を伝います。」





私はしばらく、沢山の花が舞うリンクで動けなかった。









もう最後なのだと実感してしまって。

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