義勇さん好き集まれ！義勇さん短編集〜 第１弾

風邪をひいてみたら… ページ31

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(名前)「そろそろ任務の時間だ…。」

今日は一人での任務。

身なりを整えて、日輪刀を手に歩き出す。

ふと空を見上げると、いっぱいの灰色。

雨が降るかもしれないな…。

そういえば義勇さん、傘って持ってたっけ？

今日の朝に任務に行った義勇さんは

私の記憶をたどるに傘は持っていなかった。

うーん、朝なら帰るのも私より早いかな。

私はというと…傘は持っていない。

でも大丈夫！きっと雨が降るまでに帰れる！

私はそんな根拠もない自信のなかで任務にあたった。


(名前)「全集中 雪の呼吸、陸ノ型 灰雪の刃！ 」

辺りに灰のように濁った雪がサラサラと舞う。

次の瞬間―――――――。

鬼「ア、ガ…!!なんだ、これは！苦しい…!!」

「グチャ」

身体中に紫の痣が広がる鬼の苦しむ頭は、今は地面に落ちている。

(名前)「流石しのぶちゃんの毒、すごいな。

私まで怖くなってきちゃった…。」

さっきの型は、しのぶちゃんの毒があってこそできる。

あの型を使う時のみ、藤の花の毒が塗られた日輪刀で鬼を切るのだ。

転がる鬼の頭を見て、私は手を合わせた。

鬼も元は人間、私たちと同じだったんだ。

だから私はこの行動をやめるつもりはない。

手を合わせない鬼は一つだ。

そう、鬼舞辻無惨ただ一つ。

奴の死にざまには手を合わせない。

一度だけ見たあの姿を思い出して、頭に血がのぼる。

考えなくてもいいことを考えちゃった。

任務は終わったんだ、早く帰ろう。

そう思ったとき――――。

「ポツ」

ひたりと、冷たいものが頬に触れる。

いや、頬を濡らすといったほうが正しいだろうか。

(名前)「ヤバい、大降りになるまえに早くしなきゃ！」

私は暗くなった空の下を走り出して、

遠く離れた義勇さんの屋敷を目指した。


(名前)「………。」

なんとも言えない気持ちだ。

羽織はびしょ濡れ、その下に着ている隊服も勿論びしょ濡れ。

冬の足音が聞こえる秋の夜に、雨にぐっしょりと濡れた私は寒さを覚えた。

屋敷まであと少しなのに…。

体が重い、足が進まない。

前へ、踏み出せない。

早く帰らなきゃいけないのに、

早く…帰りたいのに。

義勇さんに会いたいのに…。

「ドサっ」

体が叩きつけられる、でも痛みは感じない。

降り続く雨は私を容赦なく濡らした。

(名前)「義勇さ…」

瞼が重くて、目が開けられない。

私の意識はそこで途絶えた。

風邪をひいてみたら…→←嫉妬されてみたら…

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