義勇さん好き集まれ！義勇さん短編集〜 第１弾

押し倒されてみたら… ページ14

(名前)「はい、できましたよ。」

いつものボサボサから少しばかりサラサラとした

髪になった義勇さんがこちらを見た。

義勇「次はお前の番だ。」

(名前)「お願いします…。」

恥ずかしくて声がだんだんと小さくなってしまう。

髪を結ってもらいながら、色々なことを話した。

任務のこと、

鬼殺隊員の戦力がおちているということ、

今度一緒に行こうと約束した甘味処のこと。

義勇「終わったぞ。悪くないと思うが…。」

(名前)「ありがとうございます。」

サラサラになった髪を触り、私は満足気に微笑んだ。

そして次の瞬間――――――、

「ドサっ！」

義勇さんに突然押し倒された。

(名前)「ぎ、義勇さん!?」

驚いて動けない私を上から見上げる義勇さんの

顔はほんのりと赤く染まり、そっぽむいていた。

義勇「じつは任務に行く前のお前と宇髄の会話を聞いていた、

　 けして盗み聞きするつもりはなかった。

　 お前は「一緒にいられるだけでいい」「不満はない」

　 そう言ったな。

　 でも俺は一緒にいられるだけでは耐えられない、不満なんだ。

　 (名前)に触れていたい、そんな俺は嫌いか？」

私を真っ直ぐに見てくれたと思えば、

顔がみるみるうちに赤くなる義勇さん。

きっと私の顔もつられるように赤いことだろう。

義勇「こういうことを口にするのはやはり面映いな。」

口元を手で覆った義勇さんだけど、耳まで真っ赤。

(名前)「義勇さ…、んっ！」

義勇さん、そう名前を呼ぼうとしたら口を塞がれた、

義勇さんの唇で。

義勇「すまないが俺は今、お前の話に

　 耳を傾けられるほどの余裕は残っていない。

　 後で謝る、今はなすがままでいてくれ。」

結われてサラサラになった少し長い黒髪を

かき上げてそう言った義勇さんは、

男性に使うのも変だがとても絢爛だ。

そんな義勇さんに心惹かれながらも、嫋やかに微笑んだ。

(名前)「謝らなくていいですよ。

　 私も義勇さんに触れていたいですから。」

「チュ、チュク、クチュ…」

そこからのことは鮮明に覚えている。

夜の寒さで少しひんやりとした私の手は、

重なった義勇の手の熱で義勇さんと同じ温度になったこと。

口づけを何度も交わし、幸せだったこと。

決して忘れない、愛を確かめ合ったこの日を。

それから年を重ねて、刀が握れなくなっても、

義勇さんとこの日の思い出を綾なそう。

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