愛してるとは言えないから - ともやん ページ6
たとえ2番目でも構わない。あの時は本気でそう思っていたのに。
……どうやら俺の欲は、とどまるということを忘れてしまったらしい。
俺らと同業者のA。彼女は男2人とスリーピースバンドを組んでいて、そのうち片方と付き合っている。
Aを初めて見たのはとあるライブだった。ステージの上で堂々と歌い、俺よりもずっと小さい手でベースをかき鳴らすその姿に、気がつけば見惚れていた。当時俺はAに彼氏がいることを知らなかったが、おそらく知っていても好きになっていたと思う。それぐらい彼女は魅力的な子だった。
同業者ということもあって、仲良くなるのにそう時間はかからなかった。今じゃ2人だけで飲むこともしばしば。そんなことがあるたび、自分に言い聞かせていた。こいつには彼氏がいて、俺はただの友達。俺は絶対に、こいつの1番にはなれないと。
だけど彼女は、そんな俺の気も知らずに、呼べばこうして家にも来るし、普通に無防備だし、酔って真っ赤になった顔でふにゃりと笑うのだ。
……今日は酔いすぎたのかもしれない。
気がつけば、壁にもたれていたAに迫っていた。俗に言う「壁ドン」の状態だ。
「……ともや？」
ぼんやりとした目が、俺の顔を捉える。その視線に耐えられなくて、俺は下を向いた。
「……嫌だったら蹴り飛ばして」
「え……」
格好つける余裕なんてなかった。
ただ、あまりAの顔を見ないようにして、俺は彼女に口づけた。ただ触れるだけのキスに、かつてこんなにドキドキしたことがあっただろうか。
しばらくしてそっと顔を離せば、真っ赤になったAの顔が目に映った。その目には困惑と、微かに恐れの色がある。
……ここで「好きだ」と伝えられたら、どれほどよかっただろう。
「……ごめん。
嫌いに、ならないで」
だけど、そう言えば君が困ることはわかってたから。
俺はただ、懇願の言葉しか口に出来なかった。
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RiA(プロフ) - さささ。さん» わあぁありがとうございます〜！そう言っていただけると励みになります！ (2019年4月10日 22時) (
レス) id: 03fac5b4f8 (このIDを非表示/違反報告)
さささ。(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます〜！切ないお話も明るいお話もとても素敵です！ これからも楽しみにしてます！ (2019年4月10日 22時) (レス) id: 1d0b48d693 (このIDを非表示/違反報告)
RiA(プロフ) - りさん» こちらこそありがとうございます〜！ワガママなんてとんでもない！こちらこそ推しとか言いながら本数少なくて申し訳ないです… とりあえず次のお話はともやんで書かせていただきますね！ (2019年4月6日 21時) (レス) id: 03fac5b4f8 (このIDを非表示/違反報告)
り - コメント失礼します…すごく好きなお話ばっかりで何度も読み返してしまう…！！ともやん推しなのに推し以外のお話もとっても素敵できゅんきゅんします。ありがとうございます…ともやんとのお話がもっと読みたいなぁだなんてワガママでしょうか…？ (2019年4月6日 0時) (レス) id: 88a87d53f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：RiA | 作成日時：2019年3月12日 18時
