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バラードが聞けない理由 - にっち ページ19

(少しともやん風味かもしれない)




「……で、テンポなんだけどさ、
バラード……っぽくしようと思ってて」


新曲の話し合い中。「バラード」という小柳さんの言葉に、にっちが少し表情を強張らせた。
千葉も多分無意識だろう。にっちの顔を不安そうに見つめている。


「……正直、お前次第だよ。にっち」

「…………」

「……いける?」

「……やるよ。大丈夫」


小柳さんの問いに、少し震えた声でにっちが答える。たとえ嘘でも本人がそう言った以上、俺たちはもう何も言えなかった。




にっちはバラードが聞けない。どれだけにっちが好んでいるグループのでも、バラードだけは絶対に聞けないのだ。
勿論、そうなってしまったのには理由がある。それには、にっちの彼女であるAちゃんが大きく関わっていた。


今から半年ほど前、にっちとAちゃんはニュースになるほどの大事故に遭った。2人が乗っていた電車に車が突っ込み、脱線したというものだ。勿論、電車には2人の他にも大勢の乗客がいた。
幸い死者はいなかった。が、軽傷、重傷を合わせて怪我人は19人。
その19人の中に、Aちゃんがいた。




「打ちどころが悪かった」。
ただそれだけの理由で、Aちゃんの意識は今も戻っていない。あの日から、彼女とにっちの時は止まったままだ。
どれだけライブが忙しくても、編集が溜まっていても、にっちは少なくとも週に1回はAちゃんの元を訪れていた。だが、“バンドマン”としては、それが裏目に出てしまった。


「……怖いんだ。
バラードとか、ゆったりしたテンポを聞くのが」


にっちからそう告白されたとき、俺は言葉が出なかった。なんて残酷な話だろうと思った。
ピッ…ピッ…と変わることのない彼女の心音(テンポ)を聞くことが、にっちにとって、これ以上ないトラウマになり始めていたのだ。

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RiA(プロフ) - さささ。さん» わあぁありがとうございます〜!そう言っていただけると励みになります! (2019年4月10日 22時) (レス) id: 03fac5b4f8 (このIDを非表示/違反報告)
さささ。(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます〜!切ないお話も明るいお話もとても素敵です! これからも楽しみにしてます! (2019年4月10日 22時) (レス) id: 1d0b48d693 (このIDを非表示/違反報告)
RiA(プロフ) - りさん» こちらこそありがとうございます〜!ワガママなんてとんでもない!こちらこそ推しとか言いながら本数少なくて申し訳ないです… とりあえず次のお話はともやんで書かせていただきますね! (2019年4月6日 21時) (レス) id: 03fac5b4f8 (このIDを非表示/違反報告)
- コメント失礼します…すごく好きなお話ばっかりで何度も読み返してしまう…!!ともやん推しなのに推し以外のお話もとっても素敵できゅんきゅんします。ありがとうございます…ともやんとのお話がもっと読みたいなぁだなんてワガママでしょうか…? (2019年4月6日 0時) (レス) id: 88a87d53f0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:RiA | 作成日時:2019年3月12日 18時

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