【センラ】七夕だから

七夕だから ページ9

「は、？」



「センラのこと大好きだから、お願い……」




ぎゅうっときつく抱きしめる。
じゃないと、本当にどこかに行ってしまう気がした。

おいていかれるくらいなら
また一人になるくらいなら


ずっと胸の奥にしまっていたこの想いを伝えてしまえばいい。

それでセンラが私をみてくれるなら





「ほんまに、頭おかしいんちゃうか、」



「なっ、」



「なら最初からセンラとおれや、他の誰にも渡さん」




くるっと向きをかえて今度は逆に抱き締められる。
耳元で喋られる感じがくすぐったくて。

良かった、




「俺な、短冊に“Aがこっち見てくれますように”って書いてん。
　 Aは七夕嫌いでも、俺は好きやで」



「……なにそれくっさ、
　 私はセンラと仲直りできますように。って書いた」



「せっかくかっこつけたのになぁ
　 それ、まだ続きあるやろ？センラが今叶えますよ」





その言葉を理解するのには時間がかかった。
だって、だって信じられない

あの、センラが




「なにそれって、」



「あー、でもその言葉はAから言ってもらいたいなぁ〜」



「……好き」



「やけに素直やん」



「七夕だから」





大嫌いだった七夕。
いくら願っても織姫たちを応援しても願いが叶うことはなくて。
たかが迷信。されど迷信。

信じるなんて子供っぽいと思ってた。



でもやっと願いが叶って
少し、ほんの少しだけ七夕のことを好きになった気がする。




七夕だから
今日くらい素直でいてもいいよね

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