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蓋した思いは ページ44

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「今日何時からだっけ?」

「19時半からだから…もうすぐ出ないと。」



時刻は19時過ぎ。
これから高校の同窓会で、それまでの時間を征十郎の家でのんびりとしていた。

本当は来る予定ではなかったんだけど、ここから会場のお店が近いのと、渡す物があるという征十郎からの誘いで訪れたのだ。

コテで髪を巻く私に隣から視線が飛んでくる。



「…ふふ。」

「えっ、なに?」

「いや?ストレートも良いが、お前は巻いた方がより一層可愛くなるんだなって。」

「…あ、ありがとう。」

「はは、照れてる」



私の髪の毛を触りながらそう言う征十郎。




復縁してからというもの、征十郎は前以上に私を甘やかすようになった。

今みたいに甘い言葉を囁くのが多くなったり、本当に愛おしむように私に触れてくる事が増えた。



当然、それに慣れていない私はどう反応すればいいか困ってしまう事があれから何度もある。



「…そ、そう言えば、私に渡したい物って?」



話を逸らそうとそう口にすれば、征十郎は「ああ、そうだね。」と言いながら徐に立ち上がり、隣の部屋へと消えて行った。



…え、



部屋から出てきた征十郎の持っている紙袋を見て息を呑んだ。



再び隣に座った彼は、ゆっくりとした所作で紙袋から小箱を取り出し、それを私に差し出す。



「遅くなったけど、誕生日プレゼント。」



青いリボンで可愛くラッピングされたそれは、アクセサリーで人気なブランド。
右下に〇℃と書いてあった。


手に持っていたコテを置き、戸惑いながらも受け取った。
リボンを解き箱を開けると清楚なしずくモチーフのプラチナネックレスが顔を出す。

キラキラと光を放ちながら輝いていた。



「…きれい」と、ポロリと言葉が漏れた。



「本当は当日に渡すつもりだったが…すまない。」

「……」

「…A?」



あまりにも綺麗で


そしてどこか儚いそれを見て



「……私が、貰っていいの?」



私なんかが、と思った。


見上げる征十郎は眉を寄せて悲しそうだったけれど。

そう言う私に一言だけ、


「Aだから、貰ってほしいんだ」と、笑って答えてくれた。



「…嬉しい、ありがとう。」

「良かった。
後ろ向いて、付けてあげる。」

「うん」



後ろ髪を上げ首元で僅かに触れる指にくすぐったさを感じながら、征十郎からの「出来た」の言葉を待っていた。



「うん、やっぱり似合うね。可愛い。」



私に一つ、触れるだけのキスをした。




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美樹菜(プロフ) - 赤司くんと黛先輩が好きなので、こういう小説見れて嬉しいです。これからも頑張ってください。 (2019年1月2日 23時) (レス) id: a4e34be67d (このIDを非表示/違反報告)
黒路 - 結局最後まで自分に甘いだけですね夢主ちゃん。現実にいたら恋愛でも結婚でも長続きしませんね。 (2018年9月18日 7時) (レス) id: fa1a11a816 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - かふぇらぺさん» ありがとうございます!夏休み終わってしまいました...全然更新出来ず申し訳ないです...。 (2018年8月22日 18時) (レス) id: 56b708a054 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - ぴこさん» いつも感想ありがとうございます!!長い間更新出来ずにすみませんでした。 (2018年8月22日 18時) (レス) id: 56b708a054 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - 黒路さん» 黒路さん、初めまして!読んでもらえて嬉しいです。そうはっきり言ってもらえるのとってもタメになります!あがとうございます!! (2018年8月22日 18時) (レス) id: 56b708a054 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:羅夢 | 作成日時:2017年11月5日 14時

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