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太陽と、それから光 ページ36

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灰色の世界で、それでもやっぱり征十郎は輝いて見えた。


赤色。それが征十郎の色だった。



「…はは、出会った頃と真逆だね。」

「……っ」



征十郎と出逢ったあの日。

雨の中、今の征十郎と同じ様に傘もささずただ雨に打たれて座り込んでいた。




そんな私に傘をさしてくれて、導いてくれた。




その時、私は漠然と太陽みたいな人だと思った。



太陽みたいな人、なんておかしいかもしれないけれど。

征十郎はいつもぽかぽかと温かくて。


ふわふわと優しくて、きらきらと輝いていて。



私にとっては、本当に太陽みたいな人だった。



「…馬鹿でしょ、風邪ひきたいわけ?」

「全くだ、寒くてしょうがないよ。」

「……本当、馬鹿。」



ずるずると征十郎の目線へと腰を下ろし、その冷たい手をぎゅっと握った。


雨でかじかみながら、お返しとばかりに手を握ってくる。


……ああ、馬鹿。

馬鹿だよ、征十郎。



「…ねぇ、A。」



長いまつげの奥の、深い赤色の瞳。


赤みを浴びた薄い唇と繊細な肌。




相変わらず、綺麗だと思った。






「…俺達、また一からやり直そう。」





この人となら幸せになれると思った。









だけど…



「…A?どうして泣いてるんだ?」



自然と頬を流れた涙は、留まることなく地面へと落ちていった。



「…ごめっ…私、」



太陽みたいな人だと思った。




それでも私の隣で、絶え間なく私を温めてくれたのは征十郎…あなたじゃない。






深い暗闇の中にいた私に、温かな温もりを届けてくれた光。



地の底にいた私を、明るい世界に引き戻してくれた、あの人は。









千尋、アンタだった。





アンタは、私の光だったよ。






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美樹菜(プロフ) - 赤司くんと黛先輩が好きなので、こういう小説見れて嬉しいです。これからも頑張ってください。 (2019年1月2日 23時) (レス) id: a4e34be67d (このIDを非表示/違反報告)
黒路 - 結局最後まで自分に甘いだけですね夢主ちゃん。現実にいたら恋愛でも結婚でも長続きしませんね。 (2018年9月18日 7時) (レス) id: fa1a11a816 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - かふぇらぺさん» ありがとうございます!夏休み終わってしまいました...全然更新出来ず申し訳ないです...。 (2018年8月22日 18時) (レス) id: 56b708a054 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - ぴこさん» いつも感想ありがとうございます!!長い間更新出来ずにすみませんでした。 (2018年8月22日 18時) (レス) id: 56b708a054 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - 黒路さん» 黒路さん、初めまして!読んでもらえて嬉しいです。そうはっきり言ってもらえるのとってもタメになります!あがとうございます!! (2018年8月22日 18時) (レス) id: 56b708a054 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:羅夢 | 作成日時:2017年11月5日 14時

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