サヨナラの準備は出来ている ページ32
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ふと目を覚ませば、窓から僅かに陽の光が差し込んでいた。
携帯を見れば、6時半。
寝室へ出ればカーテンは閉まっていて薄暗い中、千尋は寝ていた。
千尋より早く目覚めてしまったのだ。
それから余り音をたてずに身支度を済ませ、ソファーで眠る千尋へと近づく。
「………」
「………」
相変わらず綺麗な顔から小さく寝息が聞こえてくる。
睫毛なんてやっぱり長すぎだし…なんなら私より長いんじゃないの？ってくらい。
色素がいい唇は薄く開いちゃってるし。
そのきめ細やかな頬をそっと撫でれば、ほのかに温もりが伝わってくる。
「…千尋、」
「……」
「……ねぇ、起きないの？」
「……」
「もう7時なんだけど。」
「……」
「私より早く出ていくんでしょ？」
「……」
そう囁いても、夢の中のアンタは起きるわけもない。
…最後くらい、『おはよう』って言いたかったのに。
なんなの？
『さよなら』すら交わさない気なの？
「…良かったね、今日からベッド使えるよ」
「……」
「千尋…」
まだ起きないであろう事を見越して、その頬に一つ唇を寄せた。
立ち上がり、荷物を持って玄関へ向かう。
大きなトートバッグ、ただ一つ。
思ったよりここに置いてある物は少なくて、難なくこれに入ってしまった。
私が物を増やさなくても済むように、千尋がいかに気を遣ってくれていたかって事だよね。
白い便箋に『今までお世話になりました』とだけ書いて机に置き、部屋を出る。
鍵を閉めた後、それを郵便受けに入れるのを少しだけ躊躇した。
……入れてしまったら、本当に終わりなんだ。
再び込み上げてくる涙で、見ている鍵がぼやける。
押し込もうとする手が震えて、どうしても指が鍵を離せない。
スンと鼻をすすって、息を吐き出した。
……“ 終わり ”、なんかじゃないよね。
ちゃんと、征十郎に向き合う為の一歩なんだから。
アンタが導いてくれた、幸せなんだから。
再び目を開けた時には、震えも止まり、気持ちは前向きで
郵便受けに落ちた鍵の音に少し未練は生まれたけれど、それを背に歩き出す。
…サヨナラ、千尋。
今までありがとう。
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美樹菜(プロフ) - 赤司くんと黛先輩が好きなので、こういう小説見れて嬉しいです。これからも頑張ってください。 (2019年1月2日 23時) (
レス) id: a4e34be67d (このIDを非表示/違反報告)
黒路 - 結局最後まで自分に甘いだけですね夢主ちゃん。現実にいたら恋愛でも結婚でも長続きしませんね。 (2018年9月18日 7時) (レス) id: fa1a11a816 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - かふぇらぺさん» ありがとうございます！夏休み終わってしまいました...全然更新出来ず申し訳ないです...。 (2018年8月22日 18時) (レス) id: 56b708a054 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - ぴこさん» いつも感想ありがとうございます！！長い間更新出来ずにすみませんでした。 (2018年8月22日 18時) (レス) id: 56b708a054 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - 黒路さん» 黒路さん、初めまして！読んでもらえて嬉しいです。そうはっきり言ってもらえるのとってもタメになります！あがとうございます！！ (2018年8月22日 18時) (レス) id: 56b708a054 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羅夢 | 作成日時：2017年11月5日 14時
