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私の言葉に納得がいかなそうな顔をするも、スープをもう一度掬い今度は自分の口に含んでいる。
「どう?」
「……お前にしては、中々の舌持ってるな。」
「舌じゃなくて私を褒めなさいよ!馬鹿」
「出来上がるから食器並べろ」
コイツ…人の話聞いちゃいないな。
だけど、食べさせてもらっている身。
言わば私は抱っこにおんぶ、付け加え肩車状態だ。
ええ加減にせえよレベルにお世話になっちゃってるわけだしね。
ここは悪口なんて言わず、棚から食器をカウンターに並べた。
「んん〜このフレンチトースト美味しいぃぃ」
「……良かったな」
「こんなのが無料で勝手に出てくるなんて、私この上ない幸せな生活送っちゃってる!!」
「……」
今日も今日とて、千尋の料理は絶品だった。
程よく焼かれたフレンチトーストは、ふわっふわで蜂蜜との相性抜群だ。
スープもコンソメの味が美味しさを更に引き立てていて野菜の甘さとマッチしている。
要するに、幸せだ。
「きっと、千尋と結婚した女性は絶対幸せになれるんだろうねぇ〜〜」
「……へぇ。」
「私なんかでこんだけも幸せ感じちゃってるんだもん」
「……」
あ、また照れてる。
フイッとそっぽを向いた千尋のその頬は僅かに赤くなっている。
本当に、千尋と生活してるんだなあ…私。
「出かけるから準備して。」
そう私に伝えてきたのは、朝食を済ませてから2時間後の10時過ぎ。
「どこ行くの?」と問うても何も答えずに、寝室へと消えて行く千尋。
なにこれ…デジャヴ。
なんて思ったが、私も急いで身支度を済ませた。
「え、本当に?」
「何、行きたくないのか?」
車の中、ナビに行き先を記入していたそれを見て私は目を丸くした。
ナビが示す先にあるのは都内でも有名な水族館。
私は驚き、そう言った。
だってそこは、私が今一番行きたかった場所だったから。
どのくらいかと尋ねられれば、「どこ行きたい?」「水族館」と即答しちゃうレベルだ。
前に一度、テレビのCMで流れていた時に「やばっ綺麗…行きたい。」なんて言った一言を聞いていたのかヤツは。
後ろでラノベ読んでいただけじゃなかったの?
それとも偶然なのだろうか…いや、あの千尋だよ?水族館なんて行きたがる性だったか?
と、そんな事を思ったが行きたい欲が勝ってしまい、私ははやる気持ちで千尋の運転に身を任せた。
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美樹菜(プロフ) - 赤司くんと黛先輩が好きなので、こういう小説見れて嬉しいです。これからも頑張ってください。 (2019年1月2日 23時) (レス) id: a4e34be67d (このIDを非表示/違反報告)
黒路 - 結局最後まで自分に甘いだけですね夢主ちゃん。現実にいたら恋愛でも結婚でも長続きしませんね。 (2018年9月18日 7時) (レス) id: fa1a11a816 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - かふぇらぺさん» ありがとうございます!夏休み終わってしまいました...全然更新出来ず申し訳ないです...。 (2018年8月22日 18時) (レス) id: 56b708a054 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - ぴこさん» いつも感想ありがとうございます!!長い間更新出来ずにすみませんでした。 (2018年8月22日 18時) (レス) id: 56b708a054 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - 黒路さん» 黒路さん、初めまして!読んでもらえて嬉しいです。そうはっきり言ってもらえるのとってもタメになります!あがとうございます!! (2018年8月22日 18時) (レス) id: 56b708a054 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:羅夢 | 作成日時:2017年11月5日 14時