【小説】能力者の通う学園【募集企画】 (ページ31)

今日:4 hit、昨日:50 hit、合計:12,535 hit

第31話「今昔」わいんれっどページ31

・

　鋼の紹介が終わり、次は俺の番となる。鋼も結構な注目を集めたな。やはり目視出来るものは印象に残りやすい。醂の場合は実演されたもののインパクトが強かったな。うまくプレゼン出来るだろうか。

「次は俺か。では。……俺の能力はオフィツィーア。ドイツ語で将校という意味だ。簡潔に言うと、全ての武器を巧みに扱う事が出来る、という能力だ。武器には刃物、銃、鈍器等があるが、俺はその全てが扱える」

　ここまで言い終わると、皆普通の「へえ」というような反応だったが、次の俺の言葉で、空気が少ししんとした。

「また最近分かった事なのだが……どうも戦車等の兵器も扱えるらしい」

　私でも少し恐ろしいと思っている。国を滅ぼす事が出来るかもしれん能力だ。感心が冷めるのも無理はないのだろう。だが、クラスメイトは少々言葉を失うような能力でも特に気にしない様だ。
　＿＿嬉しかった。高校生の頃は興味本意で近付き、やって見せてくれと言ってきた同級生を傷付けてしまい、それからというもの友達らしい友達はできなかった。気にしてくれなかったのは、鋼以来だった。

「……気にせんのか。俺の能力がこんなものでも」
「気にしませんよ。誰がどんな能力でも。それがこの学園だと思いますし」

　先程の、相手を魅了するという能力を持つ桐斗が言う。そうか、そうだったなと思うと、柄にもなく目頭が熱くなってしまった。勿論、涙は流さん。がしかし、二十歳にもなって泣きそうになるというのは、幾分か恥ずかしかった。
　恥ずかしさもあり、泣きそうな赤い顔を隠すように俯き、次へ促す。

「では次。誰でも話してくれ」

　そう言った後は鋼が傍に座ってくれた。