検索窓
今日:44 hit、昨日:66 hit、合計:404,165 hit

第三十八話 白装束の時間 ページ8





 雨音にも負けないくらい、教室内はある情報で賑わっていた。
 律に続き新たな転校生が来ると。十中八九、只の転校生ではないのは確かだろう。



「そーいや、律は何か聞いてないの?」

 
 律の前の席である原が、クラスを代弁して転校生について聞く。

 

「はい、少しだけ。初期命令では──」


 成る程、やはり只の転校生ではないらしい。
 本来、律と転校生は同時期にクラス入りし、律が遠距離。転校生が近距離と、連携して攻撃を行う予定だったそうだ。


 だが、それは二つの理由で白紙になった。

 一つは、転校生の調整に予定より時間が掛かったから。残る理由、それは律が転校生より圧倒的に劣っていた為。


 皮肉めいていて虫唾が走る。



「……!」


 その時、大きな音を立て突如として教室のドアが開かれた。その音に肩を震わせ、律の方を向いていた生徒が反射的にドアの方へと振り向く。

 教室に入って来たのは―――白装束に白覆面で顔を隠した男。
 最初からドアを見据えていた俺は、その歪さに目を細めて警戒を強める。



「ごめんごめん、驚かせたね。転校生は私じゃないよ。私は保護者だ」


 突然姿を現し、転校生の保護者だと名乗る男は、シロとでも呼んでくれと簡潔に自己紹介を済ませる。

 どうもこの男は不気味だ。
 覆面で表情が窺えないが、隙間から覗く瞳が妙に禍々しい。



「では紹介します。おーい、イトナ!入っておいで!」


 男が転校生を呼ぶ。その呼び掛けで教室内は緊張感に包まれ、ドアに注目が集まる。瞬間、背後から感じた悪寒。隣の席に視線を逸らせば、後方の壁が破壊される音と共に一人の男が座っていた。



「俺は勝った。この教室の壁よりも強いことが証明された。それだけでいい。……それだけでいい」


 頬すれすれに飛んで来た木の破片を掴みながら、内心思う。
 いや、知らん。普通にドアから入ってこれないのか。
 






第三十九話 兄弟の時間→←第三十七話 克服の時間



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (587 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1267人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

柑橘類(´;ω;`) - まさかのポ○モンww (2022年3月8日 1時) (レス) @page16 id: b9050f97b8 (このIDを非表示/違反報告)
夢莉(プロフ) - 最高です!とても面白いです!更新頑張って下さい (2019年10月20日 21時) (レス) id: 86330688ee (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 面白すぎます。描写とかたくさん書かれていて読むのが楽しいです、頑張ってください (2019年9月4日 23時) (レス) id: 94e906f1db (このIDを非表示/違反報告)
空天 馬(プロフ) - カイさん» ありがとうございます〜 今のところは誰、とは考えてないですw (2019年8月21日 22時) (レス) id: e9bd85a3ea (このIDを非表示/違反報告)
カイ - ヒロインとかはいたりしますか? 面白いです! (2019年8月21日 14時) (レス) id: 0a1f4d95ff (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:空天 馬 | 作成日時:2019年8月17日 4時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。