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第五十五話 ナイフの時間 ページ25






「そうだ、こうしよう!」


 未だに俺達に認めてもらいたい鷹岡は、懐から一本の対先生用ナイフを取り出す。



「烏間。お前が育てたコイツらの中で、一押しの生徒を一人選べ」


 鷹岡の提案したルールはこうだ。
 烏間先生が選んだ生徒と、鷹岡が闘う。俺達の勝利条件は、一度でもいいからナイフを鷹岡に当てる。

 そうすれば、鷹岡は晴れてE組(ここ)から出て行く。



「ただし、俺が勝てばその後一切口出しはさせないし――使うナイフはこれじゃない」


 喜んでいたクラス全員の表情が強張る。対先生用ナイフが投げ捨てられ、代わりに出されたのは――本物のナイフだった。

 鷹岡曰く、殺す対象が人間ならば本物ではないと意味が無いらしい。



「ふざけるな。彼等は人間を殺す訓練も用意もしていない!!」

「安心しな。寸止めでも当たったことにしてやるよ。俺は素手だし、これ以上ないハンデだろ」


 刃物に舌を這わせ、鷹岡の濁った瞳が俺達を映す。



「さあ、烏間!一人選べよ。嫌なら無条件で俺に服従だ!生徒を見捨てるか、生贄として差し出すか!!どっちみち酷い教師だなお前は!!はっははは!!」


 気でも狂ったか。完全に表情が、常人のソレではなくなっている。こうなってしまったら、鷹岡(コイツ)は終わりだ。

 そもそも、最初からコレの支配(やり方)は間違っていた。


 支配において最も必要なのは恐怖だが、暴力ではない。例えば、己の前により強大な暴力が現れたらどうする?

 その時点で、自ら平服したのと同然だ。




「先生」


 本物のナイフを目の当たりにして、不安がっている皆を見て前に出る。俺の声に反応して、真っ直ぐ烏間先生は俺を見た。



「確かに、以前の訓練で初めてとは思えない動きだった。普通に考えるなら、君を選んでいた」


 だが、と言葉を止めて烏間先生は地面からナイフを引き抜く。烏間先生は、どうやら決めていたようだ。鷹岡に勝つ生徒を。

 先生は、迷いなくその生徒の前に行く。



「渚君。やる気はあるか?」






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柑橘類(´;ω;`) - まさかのポ○モンww (2022年3月8日 1時) (レス) @page16 id: b9050f97b8 (このIDを非表示/違反報告)
夢莉(プロフ) - 最高です!とても面白いです!更新頑張って下さい (2019年10月20日 21時) (レス) id: 86330688ee (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 面白すぎます。描写とかたくさん書かれていて読むのが楽しいです、頑張ってください (2019年9月4日 23時) (レス) id: 94e906f1db (このIDを非表示/違反報告)
空天 馬(プロフ) - カイさん» ありがとうございます〜 今のところは誰、とは考えてないですw (2019年8月21日 22時) (レス) id: e9bd85a3ea (このIDを非表示/違反報告)
カイ - ヒロインとかはいたりしますか? 面白いです! (2019年8月21日 14時) (レス) id: 0a1f4d95ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:空天 馬 | 作成日時:2019年8月17日 4時

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