第三十三話 企みの時間 ページ3
前原side
「顔を上げろ」
命令口調にも聞こえるその声は、落ち着いていてどこか心地よかった。
「……何だよ」
「お前は今、虐げられる側の気持ちを知った。そのように変貌するのを恐れる必要はない。前原陽斗、お前はそんなことをする人間か?」
天霧はそう言って、俺の髪をぐしゃぐしゃにする。
水色の瞳は真っ直ぐ俺を見ていて、それは全てを洗い流す雨に見えた。
「ほら、男前。いつまでも座り込んでいる。せっかくの男前が台無しだろう」
優しく微笑んで天霧は俺の手を掴む。地面に座り込んでいた俺は、されるがままに立ち上がった。
「そうです。前原君はそんなことをしません」
水分を吸って顔を膨張させた殺せんせーが何だか笑えて、涙が止まる。
「仕返しです。理不尽な屈辱を受けたのです。力無き者は泣き寝入りをするところなのですが、君達には力がある。気付かれず証拠も残さず
「……ははっ。何企んでんだよ、殺せんせー」
「―――ふっ」
湿った髪を掻き上げながら、隣で天霧が鼻で嗤う。目を細めて行われたその仕草に、どくり、と胸の奥が騒いで目が離せない。
「屈辱には屈辱を。彼女達をとびっきり恥ずかしい目に遭わせましょう」
情けない姿を皆に見せて、人間の怖さを知って、杞憂になって。
降り注ぐ雨の優しさが、冷えた心を解けさせた。
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柑橘類(´;ω;`) - まさかのポ○モンww (2022年3月8日 1時) (レス) @page16 id: b9050f97b8 (このIDを非表示/違反報告)
夢莉(プロフ) - 最高です!とても面白いです!更新頑張って下さい (2019年10月20日 21時) (レス) id: 86330688ee (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 面白すぎます。描写とかたくさん書かれていて読むのが楽しいです、頑張ってください (2019年9月4日 23時) (レス) id: 94e906f1db (このIDを非表示/違反報告)
空天 馬(プロフ) - カイさん» ありがとうございます〜 今のところは誰、とは考えてないですw (2019年8月21日 22時) (レス) id: e9bd85a3ea (このIDを非表示/違反報告)
カイ - ヒロインとかはいたりしますか? 面白いです! (2019年8月21日 14時) (レス) id: 0a1f4d95ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空天 馬 | 作成日時:2019年8月17日 4時