第十五話 旅行の時間 ページ17
俺には唯一、苦手な行事がある。
教育や学校行事の一環として、教職員の引率により児童・生徒が団体行動で宿泊を伴う見学・研修のための旅行。
即ち、修学旅行。
今でも蝉の鳴き声が耳の奥底にこびり付いて離れない。
「皆、班が決まったら私か磯貝君に伝えてね」
テストが終わると、来週から京都へ二泊三日の修学旅行が始まる。だが、ただの修学旅行ではない。班ごとに分かれて回るコースを決め、黄色い生物がそれを引率するというのは普通の修学旅行と同じ。
ここからが普通ではない。京都の街は、校舎内と比べて遥かに広く複雑に入り組んでいる。
まあ、要はアレだ。俺達には暗殺向けのコース選びをしろとのことだ。
「天霧君!良かったら同じ班にならない?」
「俺でよければ」
驚いたことに、真っ先に俺を誘って来たのは潮田だった。こういう状況になると、普段から仲の良い友人同士で組むだろうに。
「お、天霧がいるならカルマのことは安心だな」
「ソレ、どういう意味〜?」
断る理由も無い。その輪に加われば、他の班員も集って来た。メンバーは杉野に潮田。カルマと茅野、奥田に神崎。
バランスが取れた丁度いい班だ。
「一人一冊です」
「……重っ」
「何これ、殺せんせー?」
コース決めに熱中している班員の姿を背後から眺めていると、黄色い生物から分厚い本が配布された。
「修学旅行のしおりです」
「「辞書だろコレ!?」」
確かに重い上に、しおりの範囲を超越している。この分厚さは辞書と言っても過言ではない。最初に目についたのが『旅の護身術入門から応用まで』。
実用性があるとは言えないが、いずれ役には立つだろう。
「大体さぁ、殺せんせーなら京都まで一分で行けるっしょ」
「移動と旅行は違います。皆で楽しみ、皆でハプニングに遭う。先生はね、
目を細めて語るその姿が、ただ眩しい。
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朔(プロフ) - 今更なんですがとてもハマりました。これからも応援しています。 (2021年5月23日 2時) (レス) id: 0cbe8ba716 (このIDを非表示/違反報告)
腐女神だぜ☆(プロフ) - コメ失礼します。主人公がくっそかっけえです。これからも更新頑張ってください。応援してます。 (2019年8月16日 20時) (レス) id: b63828eb3d (このIDを非表示/違反報告)
浅野月愛(プロフ) - 初コメ失礼します!いつも天霧くんのカッコいい行動にドキドキさせられています、これからも更新頑張ってください!(急かすつもりとかはないので) (2019年8月15日 11時) (レス) id: e6ca85b3e9 (このIDを非表示/違反報告)
零 - 続き、楽しみにしています。 (2019年3月31日 22時) (レス) id: 67a2382333 (このIDを非表示/違反報告)
御子柴(プロフ) - 好きです!!!! (2019年2月23日 3時) (レス) id: 5350486dcc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空天 馬 | 作成日時:2019年2月14日 4時