勝負は勝ち負けだけじゃない ページ15
「たいちょうー大好きいい」
「はいはい。水、飲みなせェ」
公園のベンチに座らせ、自販機で買ってきた水を飲ませる。風に当たってた方が酔いが覚めるから。
去年の正月だったか。その時も甘酒で酔ってた。
その時も抱き付かれまくって、ウザかった。
しかも、その次の日には忘れてた。全部。
明後日の方向を、何処か覚束ない眼差しのままに見つめる大空。
どうせ、明日には忘れちまうんだ。
「ったく、あんたは俺のどこが好きなんでィ。
財産も無いし、この手で何人も殺めてきた。これからもずっと。それにいつ死ぬかも、分からない。
俺はもう、きっとそんな風にしか生きていけねェ。だけど、お前は違う。
ただ平凡な女として、剣を握らずとも生きていける人生がある。幸せになれるんだよ。
そんな風に傷付かなくても…幸せに…」
大空の左の肩にそっと触れる。
この前の討ち入りの時に出来た傷。それ以外にも、沢山の傷があるんだろう。
「…ふざけないで下さい。それじゃ、まるで今の私が幸せじゃないみたいに聞こえます。
それに私は、真選組に幸せの為ににいるんじゃないんですよ。自分の意思で……すぅ…すぅうう…」
叩かれ、赤く腫れた頬。
言っとくがなァそんなんじゃ、痛くも痒くもねぇんだよ。イラつく野郎だ。
本当に。本当に。
何をしても、俺の思い通りになんかいかねェ。
「…後悔しても、知らねェよ。自分の意思。そう言ったのは他でもねェ、お前ィなんだから。
泣かせてやるよ。怒らせてやる。……時々は喜ばせてもやれる。
だから……他の男になんざ、渡さねェ」
やっと、スタートラインってとこか。
勝負事はいつもだったら、負けたくないのは当たり前だが、今回初めて引き分けでもいいと思った。
勝負の内容は。
“どっちが先に幸せになれるか”
「副長！！やばいですよ…沖田隊長、多分インフルで頭可笑しくなったんですきっと。大空っちだって、昨日から可笑しいし…」
「隊長が大空っちを姫抱きして、そんで優しく笑ってるんすよ！！まっ…まさか…大空っち、殺されてないですよね…」
「それは………いや、総悟ならありうる…」
十数人の隊士達は、無事を祈りながら大空っちの部屋へと向かった。
部屋に着くとあまりに焦っていたので、声も掛けず障子を開いた。だが、その中には驚きの光景。
大空っちを抱き締めながら眠る、一番隊隊長の姿が。
「副長。インフルって怖いっすね」
「あぁ、恐ろしいな」
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千の歌を歌う人(プロフ) - 十音さん» 返信が遅くなり、すみません！！ご期待に添える自信はあまりないですが、書くのがすごく楽しいので頑張ります！！ (2020年2月16日 23時) (
レス) id: 88ef43b3c1 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - 千の歌を歌う人さん» すごく好きです!(この作品も千さんも)(突然の告白) (2020年1月25日 23時) (レス) id: 29ef4bacad (このIDを非表示/違反報告)
千の歌を歌う人(プロフ) - 十音さん» すごく驚きました。すごく嬉しいです！ (2020年1月25日 12時) (レス) id: 1dfb43aa3f (このIDを非表示/違反報告)
十音 - 千の歌を歌う人さん» と思ったら1位だよ!!!!おめでとう!!!! (2020年1月19日 1時) (レス) id: 29ef4bacad (このIDを非表示/違反報告)
十音 - 千の歌を歌う人さん» すごっっっ!!もう去年Aなってるんだよなぁ我。あ、関連作品ランキング2位おめでとう!!!!!! (2020年1月19日 0時) (レス) id: 29ef4bacad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千の歌を歌う人 | 作成日時：2020年1月1日 1時
