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目の前の川沿いに
どこまでも続く桜並木が
満開の花びらで彩られていた。
「……」
声にならないほどの絶景に、そっと息を飲んだ。
「良かった。満開じゃん」
閑静なリゾート地。
桜並木の遊歩道を挟んで
その遥か奥には水平線も眺める事が出来た。
「このポジションが一番いい眺めなんだ」
そう言って微笑んだ剛典。
パーキングスペースに車を斜めに停めた理由が
やっとわかった。
「…気に入ってくれた？」
指を絡めながら私を覗き込む剛典は
言葉とは裏腹に
自信ありげにそう言った。
「ええ、とっても。桜も、…海も」
ダテに、剛典より長くは生きていない。
“海に行きたいと言ってはいけない気がして”
一瞬怯んだ瞳の動揺を見逃す程
この恋に溺れていた訳では無かったと知った。
いや。
溺れているからこそ、察したのかもしれない。
剛典が巧妙に交していたはずの
勘は良い方だと自負している。
そしてそれは、仕事をこなす上で
かなり有益に働いて来た事も事実だった。
だけど今日ばかりは
察してしまった事に勝手に苛立っていた。
恋人として初めてのドライブ。
剛典は純粋に
この景色を私に見せたいと思って
連れて来てくれたと頭では分っているのに
勝手にモヤ付く心にも
そんな大人げない自分にも
腹が立って仕方がない。
「…A」
私を覗き込んだその表情が切なげに感じて
心の片隅に存在する“秘書”としての自分が顔を出し
せっかくの休日に
感情が複雑に交錯する。
「海、行こうか？」
行きたいけど行きたくないなんて
あなたの過去に嫉妬してますなんて
そんな少女の様な我儘を言えるはずもなく
なんて答えるのが正解なのか解らない私は
口を閉ざす。
「参ったなー」
さっきまで私を覗き込んでいた剛典が
運転席のシートに伸びをしながら身を委ねた。
面倒な女だ。
そう、思われたんじゃないかと
慌てる心を隠しながらその顔を見れば
随分と面白そうに口角を上げていた。
そこでもう一度視線が重なり、ドキッとする。
「…A、キスしてよ」
真顔になった剛典の瞳に息を飲んだ。
思考が止まる。
瞳を捉えられたままシートベルトを外し
吸い込まれるように近づく私は
まるでマリオネット。
言われるがまま、唇を重ねた。
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空(プロフ) - kotanonさん» 更新遅くなってすみません^^;ありがとうございます！３も、お付き合い頂ければ嬉しいです＾＾♪ (2020年6月24日 7時) (
レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
kotanon(プロフ) - 空さ〜ん☆更新ありがとうございます！！ これからの展開も楽しみにしてます♪♪ (2020年6月24日 0時) (レス) id: 3c70e90779 (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - ねーやんさん» お久しぶりです！お手間とらせてすみません^^;移行になります！よかったらまたよろしくお願いします＾＾ (2020年6月23日 10時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - ユキさん» 行きましたよ―笑ついでにATMもｗｗ (2020年6月23日 10時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
ねーやん(プロフ) - わ…びっくりしました(笑)お久しぶりです。久々すぎても一度読み返しまーす(笑) (2020年6月21日 22時) (レス) id: 8f158f058f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空
| 作成日時：2020年3月8日 16時
