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“岩田と紗希が…”
「…そう」
反射的に目を反らしてしまった。
ドキドキなんてもんじゃない。
心臓が、バクバクし出している。
“岩田と紗希が…”
広臣が発した剛典の名前。
広臣が発した恋人の名前。
たったそれだけの言葉には
あらゆる背景とあらゆる感情が詰め込まれていた。
広臣の嫉妬。
剛典の想い。
“ずっと好きだったんだ、彼女の事”
剛典が想い続けていた紗希さんは
広臣の恋人で
何年も紗希さんを想い続けていた剛典の心が
私には痛いほど共感する事が出来て
“俺、Aが…”
でも、想い続けた存在と言うのは
そう簡単に解消する事なんて出来ないと
6年ぶりの再開で体感していた私は
混乱していた。
「…やっぱ、岩田が好きなの？」
そんな私の混乱を
広臣は“肯定”だと認識したのかもしれないけど
そんな単純な話じゃない。
“わからないよ、剛典…”
“隆二、アメリカーノくれない？”
揺らいだり、傷付いたり
嬉しかったり、怖かったり。
複雑に絡み合う感情に一喜一憂している時点で
その質問に
胸を張ってYESとも
意地を張ってNOとも言えない。
ただ
広臣が言ってくれたように
“強がらなくてもいい”というのであれば
「…解らない」
それが素直な答え。
「ははっ、わかんないんだ？」
若い頃
物事を判断する時、私には白か黒しかなかった。
そして、そうあるべきだと思っていた。
でも
歳を重ねるにつれ、次第にグレーゾーンが増え
その曖昧な色は
時として
一番しっくりする事もあると学んでいた。
「…A」
だから今
なぜ広臣が私を抱きしめたかなんて
理由を明確にする必要はない。
その背中に腕を廻したら
私の頭を自分の胸に引き寄せた理由だって
知る必要はない。
変わらないウッディー。
厚みが増した胸板。
片手で私を抱き
片手で髪を弄ばれ
今の私は
その状況が心地いいと感じてしまっている。
グレーゾーン。
それは、ズルさだと識別される事もある。
己の弱さだと感じる事もある。
正当化しようなんて思っていない。
罪悪感が無い訳でもない。
そんな状況に
今宵、警笛を鳴らしたのは私の携帯電話だった。
「出ないの？」
自暴自棄になってしまうと
判断能力が散漫し
楽な道へ逃げ出したくなると言う事を
私はもっと認識しておくべきだ。
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空(プロフ) - kotanonさん» 更新遅くなってすみません^^;ありがとうございます！３も、お付き合い頂ければ嬉しいです＾＾♪ (2020年6月24日 7時) (
レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
kotanon(プロフ) - 空さ〜ん☆更新ありがとうございます！！ これからの展開も楽しみにしてます♪♪ (2020年6月24日 0時) (レス) id: 3c70e90779 (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - ねーやんさん» お久しぶりです！お手間とらせてすみません^^;移行になります！よかったらまたよろしくお願いします＾＾ (2020年6月23日 10時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - ユキさん» 行きましたよ―笑ついでにATMもｗｗ (2020年6月23日 10時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
ねーやん(プロフ) - わ…びっくりしました(笑)お久しぶりです。久々すぎても一度読み返しまーす(笑) (2020年6月21日 22時) (レス) id: 8f158f058f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空
| 作成日時：2020年3月8日 16時
